西インドで蚊が媒介するデング熱とチクングニヤ熱が流行中
Posted on 21 Sep 2016 23:00 in トラベル・インド by Yoko Deshmukh
雨季の終わりがけ恒例の話題です。
*The image is from The Better India
まもなく去りゆくモンスーン。
最後の雨が降り続いている西インドのムンバイやプネ、およびその周辺地域では、雨水が溜まった箇所で蚊が大量発生し、デング熱やチクングニヤ熱が大流行の兆しとなっており、注意が必要だ。
本日付の「The Better India」が、予防や罹患してしまった場合の対策について詳しく伝えている。
Don’t Let Dengue and Chikungunya Scare You. Be Prepared with This Comprehensive Guide - The Better India
チクングニア熱とデング熱はいずれも、現時点で対症療法はなく、ワクチンの接種や、蚊に刺されないよう忌避剤の塗布や免疫力の向上など、できる限りの予防をすることが最善の方法となっている。
感染者を刺したヤブ蚊やヒトスジシマ蚊などの熱帯性の蚊によって人から人へ媒介されるが、こうした憎き蚊は、肘や膝の裏など皮膚の柔らかな部分を特に狙いやすい。
デング熱の場合は感染してから3日から14日の潜伏期を経て、インフルエンザに類似した身体や眼窩、目の後ろの痛みが伴う高熱に苦しみ、まれに重篤化すると呼吸困難や出血性の症状(デング出血熱)が現れ死に至ることもある。
チクングニヤ熱はデング熱よりも身体の痛みが強いとされることがある。
デング熱にかかった人に話を聞いたことがあるが、万力で締め付けられるような強烈な身体の痛みだったというから、もっと強い痛みとはどういったものなのか、想像するだに恐ろしい。
いずれも子供や高齢者など、免疫力や抵抗力の弱い人は特に注意が必要だ。
治療法としては、デング熱もチクングニヤ熱もウイルス性疾患のため、クロロキンやアルテミシニンなどの抗マラリア薬は有効性がなく、解熱のためパラセタモールを投与して臨床経過を診るという方法が取られる。
ただし、発熱から2、3日以内に非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)や鎮痛剤などの錠剤を服用すると、出血をもたらす恐れがあるとされている。
患者の血小板数が著しく減少することがあるため、水分(フルーツジュースや電解質溶液など)を十分に摂取して栄養価の高い食事を摂り、免疫力をつけることが優先される。
また高熱の場合は臓器への損傷を避けるためにも、患者の身体をウェットシートで覆うなどして体温を下げる工夫が必要となる。
罹患を予防するには、池や湖、またバケツに溜まった水などの水溜りを含む、蚊の繁殖地となるような場所には、なるべく近づかない、蚊の忌避剤を使用する、長袖長ズボンの着用など、身体全体を覆うように心がけることが大切だ。
以下の天然原料のみを用いた蚊忌避剤は、インド現地で調達できる材料で自作できるので、覚えておくとよいかもしれない。
1. ニームオイル:強い殺虫効果があるとされ、ココナッツオイルと1:1の割合で混合したものを屋内にスプレーすると、抗菌や抗真菌、抗ウイルス、抗原虫剤としても有用である。
2. ユーカリとレモングラスオイル:効果的な屋内防虫剤としてCDC(疾病予防管理センター)が推奨している。レモングラス油とユーカリ油を混合したオイルから得られる活性成分シネオールは、自然に蚊を忌避する上で非常に有効であるとされている。皮膚に塗布してもよい。
3. 樟脳:樹木の抽出物である樟脳は、最長の蚊忌避効果を発揮することで知られている。屋内で樟脳を焚き(またはディフューザーで散布し)、ドアや窓をすべて閉じて15〜20分ほどしてから入室すると、蚊が撲滅しているのを確認できるとされている。
4. トゥルシー:トゥルシーの低木を窓辺に置いておけば、蚊が屋内に侵入することを防げるとされている。
5. ニンニク:強い刺激臭が蚊を寄せ付けないとされている。ニンニクをつぶして沸騰した湯で茹で、冷ました液体を部屋の中に振りかける。
6. シトロネラオイル:シトロネラオイルは、葉から得られる精油の一種で、レモングラスの仲間でもある天然の昆虫忌避剤として知られる。直接皮膚に塗布することもできる。
7. ティーツリーオイル:非常に強力な抗菌剤および抗真菌剤として知られるティーツリーオイルは、肌に直接塗布できるほか、香りもよいのでココナッツオイルと混ぜてディフューザーで室内に散布してもよい。
8. ミント:ミントオイルやミントエキスも蚊の忌避剤として有効、かつ爽快な香りで気分もリフレッシュできる。身体に塗布するほか、ミントの低木を窓辺に植えたり、ディフューザーで室内に散布してもよい。
9. ラベンダー:ラベンダーオイルと水を混ぜて部屋の芳香剤としたり、ディフューザーで散布したり、天然ラベンダーのバームを肌に塗布してもよい。
免疫力を上げて対策を講じる場合は、次の食品が有効とされている。
1. パパイヤとその葉:パパイヤの葉は、血小板数を高めると考えられている。パパイヤにはまた、ビタミンAやC、Eなど、免疫系をサポートする重要な栄養素を含んでいる。パパイヤジュースにする際に、一握りの葉も一緒に加えてジューサーにかけ、朝晩少量ずつでも飲むとよい。
2. グドゥチ(Guduchi、Giloy):アーユルヴェーダにおいて重要な抗炎症および解熱作用のあるとされている高山ハーブ。枝を取って小片に刻み、水に加えて沸騰させ、半量になるまで煮詰めたものを、室温で冷ます。1日2回、オレンジジュースに混ぜて飲む。
3. フェヌグリークの葉(メティ):熱を下げて身体の痛みを緩和し、患者の安眠を促進するとされている。水に粉末フェヌグリークを混合したものを飲む。
4. トゥルシー・ジンジャー茶:トゥルシーは、酸素利用を効率化して持久力を高め、免疫システムを向上させることで、感染と戦う抗酸化剤および栄養剤として作用する。ジンジャーは発熱を伴う悪心や虚弱感に作用する。
このほか、デング熱やチクングニヤ熱に罹ってしまった場合は、経口補水塩のほか、さとうきびジュースやココナッツジュース、ライムジュース、またウイルス感染症と闘いリンパ球の産生を高め、結果として免疫力を高めるビタミンCなどが豊富な、新鮮なフルーツジュースなどを積極的に摂り、毒素を積極的に排出することが重要とされている。
いずれにしても感染が疑われる場合は、医療機関を早期に受診することが最も肝心だ。
About the author
|
|
Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
|
User Comments