お迎えに上がります:初の「レインボー」タクシー始動

 

Posted on 22 Jan 2016 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

友達になれる機会がないかな。



*The photo from The Better India, where the article is referenced.

サービスの名称と言い、朗らかな雰囲気の掲載写真と言い、思わず目を引く記事だ。

わが街、マハーラーシュトラ州プネで早くから(同社ホームページによると実に1994年から)、手ごろな料金で利用できるタクシー・サービスを提供してきた「ウィングス・ラジオキャブ(Wings Radio Cab)」が、ムンバイで国内で初めてとなる、トランスジェンダーやLGBTたち(以降トランスジェンダー)を運転手に起用したサービス、その名も「Wings Rainbow(ウィングス・レインボー)」を発表した。

トランスジェンダーと呼ばれる人々の中には、インド社会における根強い偏見から、なかなか安定した仕事に就くことができないため、貧困から抜け出せないままとなっているケースも数多くある。
ウィングス・ラジオキャブ社では、そうした人たちが自立するきっかけを掴み、欧米では当たり前となっている権利を、インドでも享受できるような社会を構築することを目指し、2017年から本格的にこのサービスを開始するとしている。

既に3名が、運転手としての正式な内定を得ており、運転免許の取得はもちろん、マナーやエチケットなどの研修を受けることになっている。

インド最高裁は2014年、トランスジェンダーを「第三の性」として認める歴史的な判決を出し、以来トランスジェンダーらによる就職活動が活発化しているようだ。

というのもそれ以前には、トランスジェンダーたちには自らの性別を明らかにすることが難しく、運転免許の取得といった手続きひとつを取っても高い壁があったのだ。

記事の中で、今回ウィングス社に人材を提供することになったLGBT支援団体「Humsafar Trust」では、「トランスジェンダーたちは未知の可能性を持っている。例えばファッションや美容、エンターテインメントなど、枠に囚われない活躍の場所を見出していけるようにサポートしていきたい」と述べている。

個人的なイメージだが、トランスジェンダーたちには、誰よりも多くの苦難や葛藤をくぐり抜けてきたことから、人一倍痛みの分かる、心の広い性格の人が多いのではないかと思う。
任せて安心な運転手のイメージが定着し、徐々にインド社会のかけがえのない仲間になっていけばいいなと願う。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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