「ノーモア・食品ロス!」立ち上がるダッバーワラーたち
Posted on 04 Jan 2016 12:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
インドで暮らすことは、「わたしには何ができるのか」を毎日、問い続けることでもあります。
*Picture from a copyright-free space.
国土の大部分は亜熱帯または熱帯に属し、肥沃な大地とモンスーン季の多雨がもたらす恵みにより、古来から農業大国だったインドだが、同時に干ばつによる飢饉にも見舞われやすく、また植民地支配により加速された富の不均衡によって、食べるにも困る、救いようのない貧困が厳然と存在する。
たとえば、インドでは一定ランク以上のレストランでの食事には、12パーセント以上の高額なサービス税に加えて、サービス料金も課せられ、けっこう出費がかさんでしまう。
しかし近年は、消費力のあるミドルクラスの急速な台頭もあり、週末や休日には、高級ホテルなどのブッフェスタイルの贅沢なランチやブランチが盛況である。
いっぽう、そのホテルの横には悲惨な路上生活者たちのコミュニティがあり、お腹を空かせた子供たちが交差点に立って物乞いをしているという図式がある。
いびつな構造の、この国でもやはり、レストランや家庭からの食べ残しが、日々大量に廃棄されているという。
そして年中気温が高いため、食べ残された食品はあっという間に腐敗し、無駄になってしまう。
この食品廃棄を少しでも減らそうと、ムンバイ名物の弁当配達人「ダッバーワラー(Dabbawala)」たちが、パーティやイベントなどで提供されるケータリングで発生した食べ残しを、すぐに貧しい人々のもとへ届ける社会事業、その名も「ロティ銀行(Roti Bank:ロティとは常食用の平焼きパン)」を昨年末から開始している。
この社会事業を本格化するため、400名のダッバーワラーたちが手分けして、ムンバイ各所のイベント会場や仕出し屋などと提携、特に食品廃棄の発生が多い結婚式などの際に発生した食べ残しを直ちに小分けし、必要とする人々に届けている。
走り出したばかりの事業のため、現在は本業とのバランスを考えたスケジュールが組んであるというが、ダッバーワラー組合では、できるだけ多くの必要な人々に食事を届けたいとしている。
ダッバーワラーは、本物のヒーローだ。
わたしたち一人一人が、常に問題意識を持った消費者として行動することが求められると、改めて教えてくれた話題だった。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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