「Horn NOT OK, Please」デリーで騒音公害対策が本格化
Posted on 02 Jan 2016 12:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
一発目のクラクションは「どきやがれ!」、二発目のクラクションは「はね飛ばすぞ!」と同義、それがインドです。
*Photo from The Better India, where the article is inspired from.
12月に2度、深刻な大気汚染により最高警戒レベルとされる「赤色警報」の発令された北京よりも、空気が悪いとされている首都デリーはじめインド大都市。
その空気の悪さはホンモノで、わたしもプネ移住以来、真っ白なシャツや白服は、とても着る気になれない。
その大気汚染同様、都市部における深刻な問題となっているのは騒音公害だ。
インドは、気密性がない家がまだ多いため、ちょっとした音でも室内に入ってきてしまう。
ましてやドライバーは四六時中クラクション(インドでは「ホンキング(Honking)」と呼ばれる)を鳴らしながら通行する。
わが家は幸い道路に面していないため、リバース時のメロディ(なぜかクリスマスソングや「タイタニックのテーマ」、「ランバダ」が多い)がうるさいな、と思うぐらいの最低限の被害でとどまっているものの、これでは室内でゆっくりと音楽を聴くこともままならないこともあるだろう。
このクラクションの使用について、市民を巻き込みドライバーたちにマナー意識を促そうとしている人たちがいる。
スラム街の人々への武道の指導などを含めた生活向上や、野良動物の保護などの活動に取り組むNGO団体、「アース・セーバーズ・ファウンデーション(Earth Saviours Foundation)」を指揮するラヴィ・カルラ(Ravi Kalra)さんは、公安や行政に働きかけ、クラクションを控え、それよりも運転マナーを向上することをドライバーに徹底する教育を行うことで、騒音公害を減らす啓蒙活動に従事している。
最近はデリーの交通警察からも正式な支援やバックアップを受け、また定期的な公聴会も開催されている。
例えば、無用にクラクションを使用したドライバーには罰金を科したり、路線バスには低騒音のクラクションを導入したり、といった政策的な取り組みを通じて、ドライバーへの非常時以外のクラクション不使用が奏功しているようだ。
また、特に交通の激しい交差点に立って「クラクションはやめよう」と書かれたプラカードを掲げたり、リアバンパーやフロントガラスに貼る「クラクションはやめよう(No Honking)」ステッカーを配布している。
カルラ氏の地道な努力が実り、ステッカーを貼った車両の数は飛躍的に伸び、クラクションを控える心理的プレッシャーがじわじわと拡大している。
その取り組みを、2013年には米ウォールストリート・ジャーナル(Wallstreet Journal)もウェブ版で紹介、またビハール州やパンジャーブ州、ハリヤナ州などの州首相も関心を示し、視察が予定されているという。
こうした話題を見るにつけ、インドという国は「地道に一歩ずつ、決してあきらめずに続ける」ことが、成功への唯一の鍵なのだなということを実感する。
あの、トラックの「パラリラパラリラ」が聞けなくなる日も、デリーではもうそう遠くないだろう。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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