インパール作戦で旧日本軍が残した遺物を収集し、研究するマニプールの男性
Posted on 29 Nov 2020 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
歴史は伝えていかなければ消えゆくのみというような意味合いの言葉が、いま日本で起きていることとも照らして胸にぐっと迫ります。
第二次世界大戦中に日本軍が無謀な行軍作戦を実行し、悲惨な結末を招いたインパール(コヒマ)ほど近くに住むマニプール州のアマチュア歴史家、アランバム・アンガンバ・スィング(Arambam Angamba Singh)さんが、インパールに戦史博物館を設立、また戦場ツアーを企画しているという話題を、「Hindustan Times」電子版が伝えていた。
Preserving relics in Manipur from WW2 battles that India forgot
アランバムさんは土木技師をしていた15年前、第二次世界大戦時に旧日本軍が残していったとされる軽機関銃を友人から贈られたことをきっかけに、インパール作戦に関心を抱くようになり、独力で調査を開始した。
2013年には仕事を辞め、軍事史の研究に本格的に身を捧げ、同様の興味を持つ有志を集めて戦場に残された遺物を探すようになり、以来7年間で収集したものは、ヘルメット、銃剣、水筒、使用済み手榴弾、戦闘服、メダル、ガスマスク、砲弾、それから写真や日記、何らかの記念品と思われるものなど、200点を超える。
特に遺物が集中していたのは、マニプール州内でもNungshigum、Kanglatongbi、Shangshak、Tengnoupal、Bishenpurの5県で、いずれもインパール作戦中に大規模な戦火が交わされたとされた場所だ。
こうした遺物を保管すべく、自宅内に博物館を建てたほか、一部はインパール平和博物館(Imphal Peace Museum)に託している。
1944年に強行されたインパール作戦は、マニプールの人々の心にも深い傷として残っている。
日本軍側の犠牲者は行方不明者を含めて5万人にのぼるとされている一方、英領インド陸軍側で従軍したマニプール州出身者のほか、アフリカ大陸の英植民地からも多くの人々が動員され、1万6,000人を超える死傷者を出した。
アランバムさんによれば、遺物の収集を続けていくうち、「戦争に勝利というものはなく、あるのは敗北のみだ」ということを強く実感するようになったという。
「ある日、1枚の家族写真を見つけました。まったく知らない日本兵のものと思われるのですが、ずっと心に残っています。そして、この写真の持ち主は、無事に家に帰れただろうかと、考え続けてしまいます」アランバムさんは語る。
2019年からは戦跡を巡る4泊5日のツアーを企画、参加者のほとんどは外国人で、その多くを戦争経験のある人が占めていたという。
なお、2013年には有志とともに「第二次世界大戦インパール作戦財団(Second World War Imphal Campaign Foundation、ICF)」を共同設立、戦場跡の研究を促進し、海外からの研究者を招いている。
「私たちにとって身近な土地で、第二次世界大戦中で最も激しかったとされる戦いのひとつが起きたのです。それなのに、この重要な歴史的事実は、学校の教科書に掲載されていません。実際には、多くのマニプリ(マニプール在住者)が空襲で命を落とし、家を失ったのです。森の中を散歩したり、家を建てるために穴を掘ったりするだけで、弾丸や銃、手榴弾など、イギリス軍や日本軍が残した戦争の遺物はいたるところで見つかるのにです。この歴史的事実をいつまでも記憶にとどめ、生かし続けることが大切なのです」今年48歳になるアランバムさんは切実に訴えている。
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なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。
=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※11月6日付けのメール、件名「全日空(ANA)による成田発ムンバイ着臨時便の運航」
●全日空(ANA)では、インド航空当局の許可を取得することを前提に、インド政府が設定したエア・バブルに基づく便として、11月28日に成田発ムンバイ行の臨時便を運航することとなりました。なお、今回は成田発ムンバイ行のみ旅客便として運航するため、ムンバイ発成田行きの旅客便の運航はしないとのことです。
●ANAによれば、同便の予約受付・販売は既に開始しているとのことです。
●今回から、航空会社のウェブサイトでの予約受付・航空券購入が可能となっています。
●なお、日本外務省はインドについて「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」の感染症危険情報を発出しています。インドへの渡航を検討される場合は、インドにおける感染状況を踏まえ、渡航の必要性や時期について慎重に御検討ください。また、インド政府の外国人の入国に関するガイドラインに御留意願います。
在留邦人の皆様へ
全日空(ANA)による成田発ムンバイ着臨時便が運航されることになりましたところ,お知らせします。なお、本件照会については、今までと同様に当館お問い合わせ先(在ムンバイ日本国総領事館、電話: (91-22)2351-7101,
email:ryoji@by.mofa.go.jp)までご連絡いただければ幸甚です。
1 全日空(ANA)では、インド航空当局の許可を取得することを前提に、インド政府が設定したエア・バブル(新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策としてインド政府が実施している国際定期旅客航空便の飛来禁止措置の例外措置)に基づく便として、11月28日に成田発ムンバイ行の臨時便を運航することとなりました。なお、今回は成田発ムンバイ行のみ旅客便として運航するため、ムンバイ発成田行きの旅客便の運航はしないとのことです。
2 ANAによれば、同便の予約受付・販売は既に開始しているとのことです。
なお、今回から、航空会社のウェブサイトでの予約受付・航空券購入が可能となっています。
空席状況、航空券の予約・購入方法等については、ANAウェブサイトをご確認ください。詳しくは、ANAにお問い合わせください。
(ANAウェブサイト)
https://www.ana.co.jp/ja/jp/international/
(ANAお問い合わせ先)
ANAムンバイ支店予約担当:bomrsvn@ana.co.jp(営業時間<インド時間>:9:00-18:00)
※英語/日本語での受付となります。
※上記の臨時運航便以外についてのお問い合わせ先は以下の通りです。
電話: (インド国内)000800-100-9274 ※24時間対応 ※通話無料
(インド国外)+81-3-4332-6868 ※24時間対応 ※有料
3 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、インド政府よりインド到着旅客に関する情報の提出が義務付けられています。ANAによれば、インドへの航空券を予約・購入された方は、出発の48時間前までに、必ずANAムンバイ支店予約担当に渡航に際し必要な情報の連絡が必要となるため、以下のANAからのお知らせを必ずご確認ください、とのことです。
(ANAからのお知らせ:各地域への入国条件変更/インドへ渡航のお客様へ)
https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/notice200501/#immigration
4 日本外務省はインドについて「レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)」の感染症危険情報を発出しています。インドへの渡航を検討されている邦人の皆様におかれては、インドにおける感染状況を踏まえ、渡航の必要性や時期について慎重に御検討ください。
(新型コロナウイルス感染症に関する皆様へのお願い:当館ホームページ)
https://www.in.emb-japan.go.jp/PDF/20200929_Coronavirus_j.pdf
また、以下のインド内務省入国管理局ホームページに、現在入国できる査証カテゴリーや査証取得手続き、事前の自己申告フォーム等の提出、入国後の自主隔離等、外国人の入国に関するインド政府のガイドラインが掲載されていますので御留意願います。
(インド内務省入国管理局ホームページ該当部分)
https://boi.gov.in/content/advisory-travel-and-visa-restrictions-related-covid-19-1
(各種情報が入手できるサイト)
インド政府広報局ホームページ
https://pib.gov.in/indexd.aspx
インド保健・家庭福祉省公式ツイッター
https://twitter.com/MoHFW_INDIA
インド入国管理局ホームページ
https://boi.gov.in/
在日インド大使館ホームページ
https://www.indembassy-tokyo.gov.in/jp/index_jp.html
外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/
厚生労働省ホームページ:新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
首相官邸ホームページ:新型コロナウイルス感染症に備えて
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html
=== 転載終わり ==
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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