現代に生きるわたしたちは、手持ち無沙汰な時など気づけば無意識にスマートフォンの画面を見つめている。

わたしはまだ古い時代の価値観を引きずっているためか、しかし、そうすることで、自分と周囲との間に透明な壁を築いてしまうような気がして、用がなければなるべくスマートフォンは見ないようにしている（それもあってSNSの通知はオフにし、またメール着信などの確認用にスマートウォッチを導入することにしたのだった）。

インド人だって状況は同じで、特に田舎の失業者など、やることが何もない人々などは、暇さえあればスマートフォン依存症のように画面に見入っている。

「The Hindu Business Line」が報じたところによると、平均的なインド人がスマートフォンに没入している時間は、年1,800時間、実におよそ2カ月半に相当する75日にも及ぶとの調査結果を発表した。

Average Indian spends over 1800 hours a year on their smartphone: study

つまり1年の4分の1近くの貴重な時間が、スマートフォン画面に吸い取られている、まさに魂を奪われていると言えないだろうか。
「時間は有限である」ということを強く意識して行動しないと、とんでもなく恐ろしい人生になってしまいそうだ。

この調査では、回答者の75％が10代でスマートフォンを入手、うち41％は高校在学時に既に使っていたとしている。

「smartphone and their impact on Human Relationships（スマートフォンが人間関係にもたらした影響）」と題されたこの調査は、スマートフォンのもたらした恩恵と、その依存の深さを、人間行動の変化という側面から分析するべく、スマートフォンメーカーのヴィヴォ（vivo）と調査会社のCMRが共同で実施した。

これによると、平均的なインド人は起きている時間の3分の1はスマートフォン画面を見つめていると回答、また10年前と比較して、月に何度も家族や親しい人と会うと回答した人は30％ほど減少している。
また、3人に1人は、友人や家族との会話中にスマートフォンを見ないようにしていられるのは5分ももたないと回答している。
しかし救いなのは73％の回答者が、「このまま時間が食いつぶされていくと、スマートフォンが精神や肉体の健康を蝕む」と自覚していることだろうか。

調査は主にインターネットと、インド8大都市での対面で実施された。
対象とした年齢層は18歳から45歳までの若者から働き盛りの人、主婦などおよそ2,000人で、うち女性は36％だった。

Vivo Indiaのブランド戦略責任者は建前全開で、次のようにきれいにまとめている。「インターネットやスマートフォンが偏在する世界に生を受けた『デジタルネイティブ』と呼ばれる人々が台頭する中、社会と言う枠組みの中での人間関係や人との対話、そして人間の感情やその交換の基本構造そのものが再定義されつつある。こうした変化は、これを活かして伸ばし、バランスを強化することで前向きな道筋を築き、責任あるテクノロジーの拡散とその使用を奨励できるか否かがカギであり、そこに機会があると捉えることもできる」

この責任者の言を熟読してその裏側にある意味を読み解き、「消費しているようで実は消費されている消費者」になるか、「自らが選択権を握る、責任ある消費者」になるかは、ひとりひとりの気づきと行動にかかっている。​​

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