みんな大好きなインド発コーヒーチェーン「Cafe Coffee Day」よ永遠に

 

Posted on 31 Jul 2019 21:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

とても悲しい知らせですが、みんなの愛に支えられて、ずっとずっとこれからも続いて欲しいです。



カフェコーヒーデイ(Cafe Coffee Day)とは、インド全土とチェコ共和国に2,000店舗弱を展開する、インド資本の大手コーヒーチェーンである。
設立は1993年カルナータカ州バンガロールとあるので、かなり早い段階からインドにカプチーノやアメリカーノなどのカフェ文化を紹介してきた。

Cafe Coffee Day

その創業者であるVG Siddhartha氏が、資金繰りの行き詰まりと税務署からの不当な圧力を訴え、「すべての責任は自分にある」と遺書とも取れる手紙を残して行方不明になり、本日の朝までにマンガロールの河岸で遺体となって発見された。



 

詳細な真相はこれから明らかになってくるものと思われるが、どんな事情があったにせよ、多くの国民に気軽に立ち寄れる憩いの場を提供し、たくさんの雇用を創出している「国の資産」でもある企業家が、自らの命を絶たなければならないほど追い詰められてしまう前に、助けを求められるところはなかったのだろうか。

まったく面識もない雲の上のカフェチェーン経営者の死が、インド全土、ほぼ津々浦々に展開する店舗、それぞれの常連だった市民たちを悲しませている。
かく言うわたしも、CCD創業者のことなど一昨日の失踪の報に接するまで知らなかったのに。
その店舗の数だけ、「A lot can happen over coffee」という同社スローガンの通りに、CCDにまつわるたくさんの大切な思い出話を、みんなが持っているからだろう。

Many share their favorite memories of CCD as they pay tribute to VG Siddhartha - Twitter

CCDは、周りに何もないマハーラーシュトラ州内ハイウェイで、それまで暗くて汚くてドアすらもないトイレしかなかったような場所に開店し、安心してきれいな水洗トイレが使えて、おまけにおいしいコーヒーも飲めるようにしてくれた、わたしにとって恩人のようなチェーン店だ。

昨年ビハール州ブッダガヤーを訪れた時にも、一息つきにマハーボーディー寺院近くのCCDを利用した。



 

また、初めてプネーを訪問した2001年当時に、すでにFC Road店があった。



わたしにとっての初カフェコーヒーデイ店舗は今もある。
 

FC Roadとは「Fergusson College Road」の略で、その名のままファーガソン・カレッジのキャンパスに沿った通りである。
現在のようなショッピングモールがなかったころ、若者向けのこじゃれたブティックや飲食店が集中するエリアでもあった。

いつものようにこの界隈をぶらぶらして、店を冷やかしたり、ネットカフェに入って日本と連絡を取ったりして過ごしていたある日、わたしのいた歩道から大きな車道を挟んで反対側に、赤を基調とした外壁にピカピカしたガラス張りのCCD店舗が並んでいるのが目に飛び込んできた。
それまでの街歩きで、日本で通い慣れていたドトールコーヒーやスターバックスコーヒーなどのような、のんびり落ち着けるカフェは皆無だと諦めていたので、あの時に「発見」した「Cafe Coffee Day」の看板は輝いて見えた。
路上のコーヒーが10ルピー前後だった当時、カプチーノが1杯51ルピーほどだったと記憶しているが、数カ月ぶりにありついた、あの1杯は本当に本当においしかった。

インドにスターバックスコーヒーが進出する前のつい最近までは、カフェと言えばCCDだったのでよく友達との待ち合わせなどにも利用したから、いろいろな思い出がある。
一企業それも外食チェーンに、社員でもスタッフでもない単なる客が、これほどの愛着を抱くようなことはそうない。
そんな会社を築いた人だったんだな。

Twitter上では、たくさんの人がCCDで過ごしたひとときのエピソードを共有している。
少なくともわたしたち一般の客にとっては失敗なんかじゃなく大成功だったし、感謝の気持ちでいっぱいだ。
生きていて欲しかった。

なお、「水曜日(今日)はインド全土のCCDは閉店」というのはデマだったようで、本日夕方、散歩がてら近所のCCDを覗いてみたらちゃんと営業していたので、お悔やみと敬意を表す意味を込めて、長年お気に入りのコールドコーヒー1杯、「Tropical Iceberg」を飲んできた。



コーヒーパピコとそっくりなTropical Iceberg。
 

わたしにとっては、今や至る所にあるスターバックスコーヒーのコーヒーよりも、CCDはずっと安い上においしいコーヒーを出す店だ。
雰囲気も店員さんの接客もよいし、近所の店舗には聾唖者の店員さんが働いていたりして、いち早く雇用の多様性に取り組んでいるところも好きだ。
これからも末永く、たくさんの新しい思い出が生まれる場所であり続けて欲しい。



 

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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