SQ機内で観たちょっといい映画、アミターブ・バッチャン主演「102 Not Out」

 

Posted on 21 Sep 2018 21:00 in エンターテインメント by Yoko Deshmukh

ストーリーも可愛らしいものでしたが、インド好き、ムンバイー好きの人にはたまらない作品かもしれません。



マレーシア旅行からの帰路、シンガポール航空でムンバイーに向かう機内では、「102 Not Out」を鑑賞した。


「102 Not Out」トレイラー

 

アミターブ・バッチャン(Amitabh Bachchan)氏主演の映画には苦手意識があって、これまであまり観たことはないのだが、シッダールタが「ぜひ観るべき」と推していたので挑戦した。

登場人物は、アミターブ・バッチャン氏扮する102歳の父と、これまた名優として知られるリシ・カプール(Rishi Kapoor)氏が演じる75歳の息子、そしてパッとしないが心根の優しい、近所の薬局の配達ボーイ(ジミット・トリベディ [Jimit Trivedi])のほぼ3人だけ。

父子はムンバイー南部に建つ、古びた大きな一軒家に住んでいる。
102歳の父ダッタトラヤ(Dattatraya)の精神年齢は永遠の26歳。
常に好奇心いっぱいで、(実在するかどうか不明だが)現時点で世界最高齢の中国人男性が118歳というニュースを目にしたことから、「あとたった16年だ、記録を破ってやるぞ」と意気軒昂だ。

一方、齢75歳にして、妻に先立たれ一人息子には顧みられず、鬱々と自分の殻に閉じこもり、ある意味では典型的な老人となってしまった75歳の息子バブー(Babu)。
そんなバブーに対し、ダッタトラヤから「私の目標達成にお前のような者は邪魔だ。老人ホームを契約するから、もうそこに行け」などという、非情な宣告が下される。

老人ホーム行きだけは避けたいバブーに、ダッタトラヤは次々と不可解な課題を課す。
その課題をこなすうち、バブーは再び生きている喜びを実感し、一瞬一瞬を楽しみ味わう感覚を取り戻していく。

「死ぬのは人生最後に一度きりでいい。生きながら死ぬのはよしなさい」(記憶を辿ってのアバウトなものだが)ダッタトラヤの言葉が心に沁みた。

主な登場人物は(ほぼ)3人のみという無駄のないキャスティングと、ボリウッド映画にしては短めの102分、歌や踊りも出てこないため、小説を読んでいるかのようにじっくりストーリーに浸れる。
ほんのり甘く切なく、自然に涙がこぼれ、そして元気になれる、心温まる作品で、観てよかった。

何より、導入部分で流れる音楽に一発で心を鷲摑みにされた。


Kuch Anokhe Rules(歌: Armaan Malik/作: Salim-Sulaiman)

 

軽快なそのメロディーに乗せてムンバイーの名所が次々とイラスト風に描き出される演出もよい。

ココアやお気に入りの温かい飲み物をお供に、「お気に入りの毛布にくるまって」ぜひ観て欲しい。

IMDbによると今年5月に公開された作品のようで、以下に詳しい(やや辛口の)レビューもある。

102 Not Out movie review: You will root for Amitabh Bachchan, Rishi Kapoor and their high spirits - Hindustan Times

アマゾン・インディア(Amazon India)のプライム・ビデオでも観られるようになっている。

102 Not Out - Prime Video
 





                



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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