ナマステ福岡2018☆おすすめしたいボランティア参加体験
Posted on 23 Apr 2018 21:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh
国籍や出身地を乗り越えて協力し合う様子は、まさに「インドのミニ理想郷」でした。
気温摂氏38度のプネーから、春爛漫の福岡へ降り立って2日。
ところが、「ナマステ福岡」当日にあたる4月21日と22日の福岡は、最高気温が季節外れの30度に迫る乾燥した汗ばむ気候で、まるでプネーではないかと錯覚させるほどだった。
インドア派引きこもりのわたしからして若干過酷に思えたので、冬を越えて一気に夏に身体を順応させねばならなかったローカル福岡ピープルにとっては、なおさらだっただろう。
この2日間、「エア・インディア」ならびに「インド政府観光局(Incredible India)」が共催する(が両社からの担当者は一切関与なしという「ザッツ・インディア」式)「インド観光案内ブース(観光ブース)」での接客を手伝わせていただいて感じたのは、公式運営スタッフの方々はもちろん、ともにブースを守った仲間も含めて、ピリピリした空気の人が皆無で、誰もが笑顔だったこと。
おかげでわたしたちボランティアは、働きやすさだけでなく、イベントそのものを味わい、存分に楽しむことができた。
これは簡単なことに聞こえて、本当にすごいことだと思う。
「在福インド人による手作りイベント」と銘打ってはいるが、初開催からわずか3年目にして、在大阪インド総領事やミス・ワールド日本代表に選出された方が来賓として招かれるなど、既にかなり大がかりなイベントに成長している。
大変なことは幾多もあったろう。
しかし苦労を微塵も滲ませることなく、インド舞踊的、いやボリウッドダンス的な、優雅かつ軽やかで、ノリのよい柔軟な働きぶりに、わたしは感服するばかりだった。
その頂点に君臨したインド人主催者で、日本とインドを公私ともに股にかけ、柔軟に動く別名「福岡のソーヌー・スード(Sonu Sood)」、ダルメンドラ・クマール(Dharmendra Kumar)さん。
彼が閉会スピーチで述べていた、「人と人とがつながること。すべてはまずそこから始まる」という言葉通り、わたしも2日間のボランティアを通じ、たくさんのすてきな出会いに恵まれることができた。
時には高校時代のクラスメイトから、プネーでの会社員時代にともに働いた元上司であり現在は福岡に住む友人、そして現デリー在住で、偶然この時期に福岡に一時帰国中だった古くからの友人との、再会の場として。
時には25年前にインドに行ったきりだが、近年インドのことを強く思うようになり、インドの打楽器まで演奏してしまうほどの人、コルカタで和食店を立ち上げ、日本食の浸透に単身取り組む人、5月17日(「王の凱旋」)と20日(2部作同時)に話題のテルグ映画「バーフバリ」爆音上映を企画している人、インド人と交際中の人、数カ月前にたまたま旅行でプネーを訪れたことのある人などとの、新しい出会いの場として。
もちろん、当日ボランティアスタッフとしてともに観光ブースに立ち、まったくの初対面だったにも拘わらず旧知のような親しみやすさで談笑し、様々な種類のカレーやインド料理を爆笑にまみれて賞味し合った日本人やインド人の仲間たちとの、人生の宝物と言っても過言でない貴重なひとときを過ごした場として。
そして後日、詳細を記したいのだが、インド緑化に貢献した偉大な一族の功績と尽力を、次代インド人および日本人に確実に橋渡しし、ともに力を携えてよりよい地球環境を建て直し、これを末永く伝えていくことを固く使命として、インドや日本で語りを続けている方との語らいの場として。
帰国して3日、半分インド、半分日本をさまよい、しかも集団行動が極端に苦手なわたしを、誰一人として冷たい視線で見る人はおらず、インドの日差しのように暖かく、時には熱く、照らしてくださる方ばかりだった。
「ナマステ福岡2018」は、様々な奇跡が誕生し、ビッグバンのように広がっていくイベントだった。
来年も、再来年も、未来永劫続き、かつ福岡とインドとを繫ぐ求心的な役割を果たして欲しい。
このほかの印象に残るエピソードとしては、まずインド料理やカレーへの関心や好奇心が桁外れに高い日本人が多かったこと。
ナマステ福岡2日目の22日に、北東州ナガランド州ディマプール出身で、数年前から福岡に在住する知人が、サプライズで郷土料理を作って差し入れてくれた。
その際、観光ブースの仲間たちはおろか、インドネシア人を含む友人たちがこぞって賞味にやってきて、誰もが大絶賛していたこと。
次に、在福岡インド人数十名のところに占めるマニプール出身者が15名という割合の高さ。
一緒にブースを手伝ってくれた、細やかな気配りが印象的だったマニプリ留学生Vさんによれば、インパールの日本語学校と福岡の日本語学校が数年前から提携しており、福岡の学校が彼ら留学生の受け入れ先となっていることが大きく機能しているようだ。
インド人の若者の、天井知らずにハイテンションなノリ。
日本語を話しているからつい油断してしまうが、インド人の若者は全般的にナンパな人が多いことを思い出し、苦笑しつつも気づいたら面白がっている自分がいた。
そして、改めてインドについて不勉強である自分を痛いほど思い知らされたこと。
特にSさんご一族のご活動とそれが示唆する未来への可能性を含めて、インドについては勉強すべきことが山ほどある。
最後に今回、ナマステ福岡ボランティアに参加して、1点のみネガティブなできごとがあったので書き留めておく。
わたしたちの担当した観光ブースには、特に土曜日だった4月21日は対応スタッフが女性しかいない時間帯が長く、その際、あるスタッフが問い合わせと称して近寄ってきた来場者の高齢男に、体を数回触られる被害に遭った。
このほかにも、女性しかいない時間帯を狙い撃ちしたかのように、インドはおろか趣旨とは全く関係のない話を、口角泡を飛ばしながら延々としにきて、インドへの渡航や観光に関心のあるほかの来場者の邪魔になるような行為に及ぶ人が頻出した。
しかもこうした迷惑行為は、全員揃って高齢男による犯行だった。
これを受けて2日目はインド人男子学生ボランティアも朝から一緒に入ってくださり、また午後からは主催メンバーのSさんがテント外に立ってビラ配布に協力してくださったので、来場者数は1.5倍ほどに増えていたにも関わらず、妨害者の出没率は激減した。
この箇所だけは、日本の都市でも誰もが自由に出入りできる空間に潜む闇を垣間見たような、暗い気持ちにならざるを得なかった。
ちなみに、外国人としてインドに暮らす日々は、もちろん楽しいことばかりなどではない。
わたしたちのようなミドルクラスにとっては特に、過酷で悲しく、不条理で、理不尽なことに歯ぎしりする日も多々ある。
悩み、傷つき、嫌悪し、逃げ出したくなることだってしょっちゅうだ。
そんなわたしにとって「ナマステ福岡」は、ひたすら華やかなミニ理想郷でもあった。
クマールさんのまとめスピーチ動画(画像をクリックするとYouTube動画がオープン)
*I am writing the event report in English tomorrow.
About the author
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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