ポワイ湖にワニを呼び戻せ!ムンバイカーの挑戦

 

Posted on 16 Apr 2018 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

写真はマハーラーシュトラ州プネー近郊にある避暑地マハバレシュワルの湖です。



ムンバイーのチャットラパティ・シヴァージ国際空港北東に位置するポワイには、IITボンベイ校が所在していたりする新興の高級住宅地という印象があるが、ポワイ湖(Powai Lake)というムンバイカー(市民)憩いの場もある。



 

かつてここには多くのワニも生息していたが、近年の違法な漁業活動や下水の流入による水質汚染が進み、生態系が破壊されて頭数が激減している。

そこでムンバイー自治体(Brihanmumbai Municipal Corporation:BMC)ではポワイ湖にワニを呼び戻す水質浄化プロジェクトを計画している。
「Indian Express」電子版が報じた。

Mumbai: Powai lake to get crocodile park, fishing banned, sewer lines closed - Indian Express

これまでに市民団体の協力も得て、ポワイ湖での釣り(網漁を含む)行為の禁止と、下水流入経路の転換が実施された。
まずはホテイアオイなどの水生植物が生育できる水準まで水質を高めることを目標としている。

世界大百科事典によるとホテイアオイ(water hyacinth)とは「熱帯・亜熱帯アメリカ原産の,ミズアオイ科の浮遊性多年生水草。現在では,世界各地の亜熱帯~熱帯に野生化し,静水域で大群落をなすことが多い。日本でも九州の温暖地に野生化している。(中略)繁殖力はきわめて旺盛で,短期間で群落状となる。(中略)水中の窒素やリンをよく吸収するので,水質浄化に役だてることが考えられている。(後略)」

またBMCではエアレーター4~5台を設置して湖水を撹拌し、溶存酸素のレベルを上げることでの水質改善にも取り組む予定としている。

ポワイ湖に生息するワニの頭数は激減しているのに、これまで湖水の汚染レベルを確認する方策は何ら講じられていなかった。
今後BMCでは、水中の生態系の多様化を回復し、再び多くのワニが棲む湖を取り戻したいとしている。
同時に湖周辺の公園としての設備の近代化や修復を急ぎ、観光地としても整備していきたいとしている。

インドが経済成長一辺倒ではなく、自然や生態系といった財産を置き去りにしないで豊かになっていく国であって欲しい。





            



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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