ヴァラナシに次ぎ、コルカタでも牛糞燃料を利用した火葬の採用へ

 

Posted on 06 Feb 2018 22:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

大量に必要となる燃料は、どのように生産するのかな。



日本に帰国するたびに、墓地用地やお墓自体の不足、そして親族などによる供養など、お墓にまつわる様々な問題についてクローズアップして取り上げているテレビ番組をよく目にする。
日本の場合は死後にも、いろいろお金がかかりそうで、わたしだったら死にきれない。

一方、インドではヒンドゥー教徒であれば、亡くなった人は火葬され、川や海に流される。
ゾロアスター教徒は鳥葬だ。
いずれも、死後は自然に還ることで現世から完全に自由な形となり、再び新しい輪廻を始めるために必要な儀式なのだ。

インドが大好きになった福岡の母が、一度もインドに来ることなく亡くなった父について、「かわいそうだったねぇ」と嘆くことがある。
そんな時決まって(ヒンドゥー教徒である)シッダールタは、「お父さんは6年前に亡くなったから、きっと今ごろ、イランか中東のどこかの国の、裕福な家庭の少年として生まれ変わっているね。だから毎日インドよりもずっとおいしいイランのビリヤーニー(スパイスで味つけした肉の入った炊き込みご飯。イランの場合ライスにザクロの粒をトッピングしたりする)を食べているに違いない」などと言って母を慰めて(?)いる。

さて、Indian Express電子版が、ヴァラナシに続いてコルカタでも、古代からの習慣に戻り、火葬に牛糞燃料を使うようになったことを報じていた。

Kolkata crematorium offers ‘environment-friendly, holy’ cow dung cake alternative - Indian Express

ヴァラナシの記事はこちら。

Cow dung cakes for eco-friendly cremation - The Times of India

牛糞燃料の採用を推進する、19世紀から運営している非営利団体「Pinjrapole Society」によれば、ヒンドゥー教徒にとって、「牛は神の乗り物」とか、「神聖な生き物」とか、そういう宗教的な意味合いもあるが、木材を燃焼した時に発生する炭と異なり、牛糞の燃えかすは川に流しても汚染物質が少なく、環境に配慮している点を主張している。

実は牛の神聖性についてだが、シッダールタのような若干「不良」なヒンドゥー教徒にとって、牛はむしろ「食べ物ではない(=ゲテモノ)」だから食べないだけで、わたしたち日本人の食卓に犬肉や猫肉が上がらないのと同じ理由だ。

記事によれば木材による火葬には平均165分かかり、費用は2万6,000ルピー、これが牛糞燃料を利用すると平均135分、費用は20分の一近い1,750ルピーで済むとしている。
なお、最も安価なオプションは電気炉で、およそ45分、わずか250ルピーで火葬できるという。

これまで親戚のお葬式を数度、経験したが、女性は火葬場に入れないことになっているので、インスタントメッセンジャーの「ワッツアップ(WhatsApp)」で、頼んでもいないのに親族らが送ってくる画像を見ると、遺体が完全に骨になり、熱が取れたところでズタ袋(セメント袋のリサイクル)のようなものに移し替え、「あらよっ」という感じで川に「ザザー」っと豪快に流して終了である。
わたしも、死後はこれでいいかな。

そう言えばヴァラナシなどに出掛け、マニカルニカー・ガートなどの火葬場でヒンドゥー教徒たちの火葬風景を写真に収め、「生とは、、、死とは、、、」てなポエム風の悦に入った文とともに、SNS上に遺体が焼けていく画像をアップしている人を見かける。

そもそも、わたしにしてみたら、日本の火葬場の光景もちょっと異様で、独特だ。
あそこに観光客を入れる発想はないのか。

ヴァラナシで遺体の写真をバシバシ撮ってせっせとSNSに上げる人、自分とか家族が火葬される時も、外国人観光客に写真いっぱい撮ってもらって、ガンガン全世界に発信してもらえるといいね!





          



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments