イランのチャーバハール港、インドから北欧までを結ぶ大回廊の重要な起点に

 

Posted on 07 Dec 2017 21:00 in インドの政治 by Yoko Deshmukh

夢のような壮大な計画です。これから世界はこのように、ますます一筆書きのように捉えることが不可欠になっていきそうです。



数日前、NHKでも報じられていた以下のニュースについて気になっていたところ、「Indian Express」で詳しい記事を見つけたので、自習も兼ねてまとめておきたい。

日印支援でイランに新港 アフガンへ新輸送路 中国に対抗も - NHK

Iran’s Chabahar port opens, allows India to bypass Pakistan on trade route to Afghanistan - Indian Express

NHKの報道にもあるように、チャーバハール港はパキスタンが中国の支援を受けて整備しているグワダル港から100キロほどの、国境にほど近いオマーン湾に面している。
この港湾を拠点に、パキスタンを迂回してアフガニスタンから中央アジア、そしてロシアとの間での物流を確保することができるようになるとしている。

この港湾の建設計画は、2003年のアタル・ビハリ・ヴァジパイ(Atal Bihari Vajpayee)政権まで遡る。
当時のインド政府は、イラン政府との間での戦略的協力に向けた合意に調印した。

ところがその後、インドとアメリカとの関係が強化し、その一方で当時の米ブッシュ政権が、イランがイラクや北朝鮮と並ぶ「悪の枢軸」のひとつと指名したことから、すべての計画が停止した。

流れが変わったのは、イランが国連常任理事国5カ国とドイツとの間で、経済制裁を解除する代わりに核兵器製造能力を停止することに同意した2015年だ。
ちなみにイランを国際社会から孤立させたいドナルド・トランプ米大統領にとって、この歴史的合意は邪魔な存在となっているという。

既にインドは、10月にチャーバハール港から小麦11万トンをアフガニスタンに陸上輸送した。
今後この港から中央アジアやアフガニスタンに輸送されるインド製品に関税の優遇措置が適用されることになっており、インドにとって重要な国際回廊のひとつとして機能することが期待されている。

またイランとインドとの間では、原油や天然ガスを中心としたエネルギー取引が中心にあり、アメリカ主導の経済制裁撤廃以前は、インドにとってサウジアラビアに次ぐ第2の原油供給国だった。
サウジアラビアが現在抱えている経済的、社会的、政治的な混乱と、インドのエネルギー需要の高まりを考えると、イランがインドにとって急速にその重要度を増している。

チャーバハール港プロジェクトの最終目標は、2000年にイラン、ロシア、インドが確立した多モード接続ルートである7,200 kmの国際南北輸送回廊(International North-South Transport Corridor:INSTC)に接続することにある。
INSTCはイランを経由してインド洋とペルシャ湾を結びつけ、ロシアのサンクトペテルブルクを通ってヨーロッパ北部にまで広がっている。





                



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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