アコラつれづれと、10時間の思索あれこれ

 

Posted on 23 Oct 2017 23:00 in トラベルASKSiddhi by Yoko Deshmukh

長くインドに住んでいると、感覚的に相容れないことに遭遇することがあまりに多いです。



※今年はマハーラクシュミー・プージャの2日後が、
目上の男性に感謝する「バウビジ(भाऊबीज)」。
「インドの兄(シッダールタ妹の夫)」ラームさんから祝福のお金をもらうの図。
 

昨晩、ディワリ休暇を終えてアコラからプネーへ戻って来た。

今年はモンスーンに十分すぎるほどの雨量があったのみならず、ディワリが到来しても毎晩のように夕立のあるウェット気味のプネーとは対照的に、600キロ東のアコラが所在するヴィダルバー(Vidarbha)県は、モンスーンにもほとんど降雨がなかったといい、8日に一度の給水となっていた。



 

幸い、シッダールタ実家には屋上の貯水タンクのほか、地下水を貯めておける大きな貯水槽があるため、ディワリの最中に水が出なくなって困るという事態に陥ることはなかった。

また気温も、到着した16日と翌日の17日は殊のほか蒸し暑く、日中の気温は36度くらいまで上がっており、特に夜はエアコンもない室内は大変寝苦しかった。
しかしディワリ入りしてから雲が所々に広がって日差しが陰る時間帯があり、日中の気温は32~33度くらいに落ち着いて少し涼しい風も吹き始めたため、一雨降るだろうという気象予報もあったのだが、結局わたしたちの滞在中は雨が降らなった。

マハーラーシュトラ州は東西に長いので、同じ州内とはいえ気候の違いがかなり大きいことを実感する。
このまま乾季に入ってしまったら、大きなダムがそれほど多くないヴィダルバー県は深刻な水不足になるだろう。
この地方に住む人たちは、水不足とは運命共同体のようなものだという話題に触れるたび、わたしは生活の場面で本当に大変な思いをしたことが一度もないことを今さらながらに実感している。

帰り道には、アコラからジャルナ(Jalna)県にかけての、乾燥していて年中過酷な暑さを特徴とする土地に、広大に横たわるジョワール(モロコシ)畑を眺めながら、相変わらず「道の駅」のことを考えていた
何度も往復している、プネーとアコラとを結ぶ611キロの道のり。
その道中に点在する村々については、ほとんど知っていることがない。

「道の駅」では、そうした村や町の歴史や農産物、言語、民族などを紹介するミニ博物館も併設したらよい。
生まれ育った故郷を誇りに思い、もっとたくさんのことを知りたい、調べたいと研究に取り組む人が増えるかもしれない。

ある土地を通りかかったとき、だだっ広く360度見渡す限り平らな大地の向こうに、小高い丘が見えた。
そのてっぺんに、白亜の建物が建っている。
目を凝らして見ると、案の定それはヒンドゥー寺院だ。
なんとなく、がっかりする。

寺院を置くな、とは言わないが、農産物の貯蔵施設だとか、太陽光発電所とか、「道の駅」のように観光客も立ち寄れる産直センターとか、もう少し地域の人々や土地に潤いをもたらす、実益に繋がる建物があってもいいのに、周囲に村落のない広い平原を車で突っ走っている時に、ポツン、ポツンと目にする建物といえば、たいてい寺か、用途のよく分からない崩れかけた廃屋ばかり。

アコラで過ごす素朴なディワリは毎年楽しいし、幸福感をもたらしてくれる。
でもそうした伝統的なお祭りなどの行事を越えて、真の意味で質実ともにインドの国民全員が当然の権利として幸福を享受できる日は、いつか来るのだろうか。
 





          



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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