新幹線なんかよりも日本の「道の駅」をインドに導入すべし

 

Posted on 18 Oct 2017 23:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

「道の駅」さえあれば、旅がどんなに楽しかったことか。



毎年ディワリ休暇のたびに、プネーからアコラまでの総距離611キロ、片道10時間もの道のりを延々と車で飛ばしてもらいながら思う。



 

インドという国こそ、「道の駅」が多くの人に、大きな利益や恩恵をもたらせるはずなのに。

特に、わたしたちが旅する経路上には、ジャルナ(Jalna)付近を境に気の利いたダバが異様に少なくなり、トイレ休憩すらままならない中、車内に縛り付けられ、エコノミークラスよりひどい辛く窮屈な時間を耐え忍ばねばならない。
そんな、ともすれば単調で退屈な10時間ドライブの模様を、2分という驚異的なコンパクトさにまとめてくれた、Google先生自慢の動画をぜひご覧あれ。



 

こんなドライブの時には決まって、亡き父が在りし日に、よく色々なところへドライブに連れて行ってくれ、目的地での観光はもちろんだが、道中の高速道路サービスエリアや、一般道の「道の駅」に立ち寄ってくれ、コーヒーやソフトクリームを片手に、通り過ぎるだけでは味わえない未知の土地の空気を味わい、売店に並ぶ特産品を物色したりすることを、殊のほか楽しみにしていたことを思い出してしまう。

自家用車で家族旅行できる余裕のあるミドルクラス以上は、旅先の思い出(や自慢の種?)作りに余念がない人たちでもある。
主にトラック運転手を相手にしてきた昔ながらのダバ(Dhaba)だけではなく、そういったファミリー層や、ヒマラヤの山道をバイクで数百キロも走破するような、若く冒険好きでアクティブなバイカーたちが休憩に立ち寄り、地元ならではの気の利いた食事に舌鼓を打ったり、現地の特色ある土産物を買い物したりしてリフレッシュできる場所が、一定の距離ごとに点在していたら、もっと多くの人々が国内ドライブ旅行に出掛けようと考えるだろう。

国土交通省のホームページによれば、「道の駅」とは「道路利用者のための『休憩機能』、道路利用者や地域の方々のための『情報発信機能』、そして『道の駅』をきっかけに町と町とが手を結び活力ある地域作りを共に行うための『地域の連係機能』、の3つの機能を併せ持つ休憩施設」を指すのだという。

道の駅案内 - 国土交通省

インドに関しては、そうした意義付けよりも大切な点として、都市から離れた地域の雇用や開発、経済発展に繫がることや、道の駅に警察署や消防署の出張所を設置して、防犯や防災にも役立てられることが挙げられる。

道の駅で農産物を取り扱えば、農業大国インドで生産者と消費者を結ぶ架け橋としても機能するだろう。
もちろん海沿いの町にある道の駅では、新鮮な海産物を取り扱うとよい。
地域経済の大きな活性化に繫がりそうだ。

最後に、道の駅で最も大切な要素は、清潔な公衆トイレだ。
その設置および(清掃員の確保のみならず、利用者に対するマナーの働きかけも含めた)継続的な維持や管理は、利用者にとって大きな便益になるだけでなく、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が「クリーン・インド(स्वच्छ भारत)」ミッション下で推進する「国民皆トイレ」政策を容易にし、また周辺の村民に啓もうする役割も果たすのではないだろうか。

Modi's Swachh Bharat mission has built 80 lakh new toilets - but few people are using them - The Daily Mail

すなわち日本では当たり前の道の駅を、インド中のハイウェイに作れば、人の流れが変わり、農村経済の活性化に繫がり、防犯・防災に一役買い、そしてトイレの普及も加速できると、いいことずくめだ。

日本には1,117カ所の道の駅があって、検索もできるようになっている。

道の駅検索

こういったものがインド中の道路にできたら、新幹線なんかが来るよりもずっと楽しい旅ができそうだし、もっと広い範囲でインド経済の活性化に寄与するに違いない。

大切な点として、「道の駅」ブランドを名乗るためには、国家や州の食品安全局や保健衛生局による審査に合格することを義務付けなければならない。
また常時スマホなどのインターネット経由で収集した利用者からの評価(レビュー)や、審査員の派遣により、質を保っていくことが課題になるだろう。





                



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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