ムンバイー大洪水の中、連携して支え合い、助け合うムンバイカーたち

 

Posted on 31 Aug 2017 23:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

わたしが、ムンバイーを無条件に好きな理由が、ここにあります。



※写真は、数年前の雨季のプネーはアウンド(Aundh)付近で
 

今月28日夕ぐらいから降り続いた、20年に一度とされる豪雨の影響で、ムンバイー中心部の道路は冠水し、都市機能や交通は麻痺、多くの人が影響を受け、2005年7月の大洪水を思い起こさせる大災害に見舞われている。

しかしこうした中にあって、今回もムンバイカー(ムンバイっ子)の本領である、「善きサマリア人の法」に基づく心意気が各所で見られたようだ。
本日付の「The Better India」が伝えた。

Mumbai Floods: 7 Times Good Samaritans Restored Our Faith in Humanity - The Better India
As Mumbai Stumbles, Navy Helps The City Get Back on its Feet - The Better India


まず、冠水や、これに伴う道路閉鎖などにより、帰宅困難になった人たちに、一晩の宿や食料、清潔な衣類や水などを提供する個人や会社が次々に現れ、こうした支援情報は「#Rainhosts」、「#MumbaiRains」といったハッシュタグでソーシャルメディアの力を最大限利用して広く拡散された。

特に「#Rainhosts」で自宅を一時の避難所として提供する人たちは、あっという間に長いリストを作った。

また、ビジネスホテルチェーンの「OYO」では一部の施設で客室を無料解放、また配車サービスの「OLA」は無料で人々を輸送した。

イスラーム教モスクやスィーク教グルドワラ、ヒンドゥ教寺院、キリスト教教会などの宗教施設では、信者の別なくすべての人々へ分け隔てなく避難所として門戸を開き、食事や水を提供した。
ムンバイー南端のチャットラパティ・シヴァージー・ターミナス(CST)駅も避難所として機能した。
そして、こうした避難所には近隣から有志が集まり、温かいダルやチャーワル(ライス)の炊き出しをしたり、自宅で食事を調理してふるまった。

オフィスワーカーにとっては会社が一時避難所となり、列車が運休したため帰宅を諦めて泊まる人には、会社から食事が振る舞われるケースがほとんどだった。

また洪水に行く手を阻まれ、降りしきる雨の中、屋外や屋内に立往生した人たちが助けを求めることができるよう、「Facebook」などのSNSや、インスタントメッセンジャー「WhatsApp」などを活用したヘルプラインも運用され、多数のボランティアが四方八方で救助活動に当たった。

この他、イベント会場も続々と解放され、濡れた服を着替えたり、チャーイや軽食を用意して、水害に苦しむ人々を連携して支えた。

海軍や警察官は、水の中に腰まで浸かって交通整理したり、炊き出しに参加したりして、疲れを知らずに人々に尽くした。

このほか、マヒンドラ・グループのアナンド・マヒンドラ会長(Executive Chairman)が、「車の中で5時間も閉じ込められた友人を救ったのは、近隣のスラム住民だった。ビスケットやチャーイを振る舞ってくれたそうだ」とツイートした。




 

わたしは特に、「Rainhosts」の長いリストに圧倒された。
同じことがプネーでも起きないとは言い切れず、わたしにも、すぐに自宅を避難所として提供する心構えがあるだろうか?
いっぽう、海外の主要都市などでテロ事件などが発生したという報道が入ると、SNS上で繋がっている、その街に住んでいる人たちが、「助けが必要な人へ。私の自宅は○○地区にあるから、近くにいる場合遠慮なくプライベートメッセージください」などと投稿しているのを、よく目にしてきた。

困っている人を、見て見ぬふりができず、自分のこととして捉え、手を差し伸べることができるムンバイカーは、正真正銘、本物のコスモポリタンだ。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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