コーチ・メトロがトランスジェンダー23名を雇用、「交通手段のみならず人々の生活改善する存在」
Posted on 15 May 2017 23:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
21世紀も人類が生き残るためのキーワードである「共存・共栄」を、インドで最も早くに取り入れているケーララ州です。
*Suburban train at Belem Station, Lisbon.
本日付ガーディアン紙ウェブ版が、ケーララ州が史上初めて、トランスジェンダーを鉄道職員に採用したことを伝えていた。
Indian train network makes history by employing transgender workers
コーチ・メトロ(Kochi Metro Rail)では、「ヒジュラー」と呼ばれるトランスジェンダー23名を、チケット販売カウンターや清掃スタッフとして雇用した。
インドにおいてはトランスジェンダーの人々は理解されず、不当に差別され、社会から切り離されてきた。
このように隔離され、迫害され、ゆえに満足な教育も受けられずにいたトランスジェンダーたちは、生きていくために鉄道や列車を舞台に物乞いをするしか術がなかった。
ガーディアン紙によればコーチ・メトロ広報担当者は、今回のトランスジェンダー採用について、「交通手段としてだけではなく、人々の生活を改善する存在としてのメトロでありたい。特にトランスジェンダーの雇用を保証することで、彼らを社会の主流へと導いていきたい」と説明している。
今回雇用されたトランスジェンダーたちは、顧客サービスの研修を受け、自信を持ってサービスに臨めるよう準備している。
うちのひとり、ヴィンシーさんは、「大企業や多国籍企業、IT企業、政府機関などでの就職は、望むべくもない。トランスジェンダーへの理解のない人たちから蔑まれ、笑われ、女性のように歩く姿を真似されるなどの侮辱を受けることになる。コーチ・メトロのように、顧客に接する職種にトランスジェンダーを採用する取り組みが、世界中に報道されることを期待している。そうすれば、一般企業にも認識が広まり、トランスジェンダーの雇用機会はもっと広がるだろう」と語っている。
コーチのあるケーララ州は、アラビア海に面した白砂のビーチ、広大なヤシ林に点在するアーユルヴェーダ施設など、風光明媚な土地に多くの観光客を集めており、インド国内の他州と比較して自由な雰囲気があり、また教育水準も高いことで知られている。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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