迷子の子供たちを保護する活動に従事するデリーのオートリクシャーワーラー

 

Posted on 14 May 2017 23:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

世の中のこと、周囲のことに、きちんと関心を向けられる余裕を常に持っておきたいです。



*Oriente Station (Estação do Oriente) in Lisbon, Portugal.
 

昨日、「Lion」のサウンドトラックをダウンロードし、さっそくJBLポータブルスピーカーから流れてくる物悲しい調べに身を委ね、映画の余韻に浸っているところなのだが、10日付NDTVウェブ版に、サルーのように迷子になってしまった子供たちを保護し、自宅へ連れ戻す活動に従事しているオートリクシャーワーラーについて取り上げていた。

Delhi Auto Driver's Daily Mission: Reuniting Lost Children With Families

デリーでオートリクシャー運転手稼業をしている43歳のアニル・クマール(Anil Kumar)さんは、仕事を始める前の毎朝6時からおよそ2時間、迷子になっている子供がいないか見回りをしている。
デリー警察によれば、首都圏では毎日平均22人もの子供たちが行方不明になっていると、NDTVは報じており、クマールさんはそうした子供たちを少しでも減らそうと努力しているひとりだ。

20年以上前、ウッタル・プラデーシュ州ガジアバード(Ghaziabad)からデリーに出てきた当初のクマールさんは、民間のバス会社で働いていた。
「親とはぐれてしまったり、迷子になってしまった子供をよく保護していた。10人以上の子供たちを親元へ連れ戻す手伝いをしたことがある」クマールさん。
時には明らかに、誘拐目的で子供を連れ回していた事件もあり、子供を保護してからすぐに警察に通報したという。

ある時には、乗客を乗せての運行中に、迷子になった4歳の小さな女の子を保護したこともあった。
「乗客は、事情を察すると喜んで別のオートリクシャーに乗り換えてくれた」
このようにクマールさんの活動には、人々の多大な理解や協力があったようだ。
地道だが重要なクマールさんの自主的な活動に、デリー警察からも功労賞が贈られている。

自身も2人の息子を育てる父親であるクマールさん。
15年ほど前に友人の子供が行方不明になったことが、こうした活動に取り組むきっかけとなった。

クマールさんや周囲の人々のように、子供たちに目を光らせ、注意や関心を向けている人がもっと多く存在していれば、サルーのような物語が誕生することもなかったかもしれない。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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