友達になりたいと思える数少ない人のひとり、フランスに帰る

 

Posted on 30 Mar 2017 23:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

あっ、ひとつ言っておきますが、インドを去る人のことは全然うらやましいと思いません。むしろ同情しているくらい。



※写真は2011年、父が亡くなった直後の12月はじめに撮った大濠公園の夕景。
ことさら寒さが身に応えたことが昨日のように思い出されます。
Bさんは、「フランスに帰ったら、ひさしぶりにコートが着られるわ」と喜んでます。
 

昨年は、忙しい仕事の合間にインド国内はもちろん、日本への長期帰国、そしてシンガポールやタイ、ポルトガルなどへ出掛けたほか、アコラ(Akola)の姪っこラーダちゃんを日本へ連れて行くという重大ミッションも自らに課していたので、普段の生活では一人でのんびりと過ごしたい気持ちの方が勝ってしまい、あまり人に会う気がせず、一層閉じこもりがちになっていた。
このため、せっかく知り合いになった人たちとも、ほとんど会う機会がないまま日々が過ぎ去った。

そんな中、インド人男性と結婚し、プネーに住むフランス人女性のBさんが、3月から夫と一緒にしばらくフランスで生活するということを知り、先日会ってきた。

Bさんとは、これまで数えるほどしか会ったことがなかったが、「この人とは一生友達でいたい」と思えるめったにない人であり、わたしが福岡に一時帰国中も、ロフトなどで入手できる凝ったデザインのクリスマスカードやら絵葉書をプネーまで送ったりして、記憶にとどめてもらう努力をしていた。

先日会ったときに、いろいろな話をお互いにして、「やはり、この人とは一生繋がっていたい」と確信した。
Bさんは、わたしより数歳ほど年下ぐらいの年齢なのだが、フランスに戻ったら何をするのか尋ねたら、とてもおもしろいプランを考えていた。

まず夫の在留許可が下りるまでは、ご両親の家を拠点にしつつ、フランスの移民局が実施している無料フランス語講習を受けつつ、全国のホテルやペンション、農場といった施設が募集しているボランティア労働者として、労働の見返りに滞在費用を無料にしてもらう、というスタイルでフランス全土を2人で旅して周るのだそうだ。
Bさんによると、若いころには南米のコスタリカやチリでも、同様のスキームで数カ月間ずつ、様々な土地に滞在した経験があるという。
そのフリースピリットには恐れ入る。

なお、ムンバイーのチャットラパティ・シヴァージー国際空港からパリのシャルルドゴール空港までの片道航空券、曜日指定となるが、なんとトルコ航空だと1名1万5,000ルピーという安さだったそう。
これまでも、帰省のたびにトルコ航空をよく使っていたそうだが、「ヨーロッパに行くなら、トルコ航空がベストよ!安いし、アクセス抜群だし、客室乗務員も感じがいいの。ただ、乗り継ぎのイスタンブールの空港は、まるで日曜日のフェニックス・マーケットシティ(Phoenix Marketcity)だけど(笑)」なんてこと言ってた。
むむむ、そらすごい混雑なんだろうが、いやいや安さには代えられない。
来年の3月にドイツを訪問する予定があるので、その時にはぜひトルコ航空を利用するぞ。

もちろん、プネーには夫の実家があるので、定期的には帰って来るそうだ。
そして老後の不安定さはフランスも日本と似たような状況で、かつ年金や保険、税の負担も大きいということで、インドにはまた戻る予定だとのこと。
「じゃあ、ムンバイーの(やはりインド人の夫を持つ)Tちゃんと、老後のためにゴアに一軒家を共同購入しようと(勝手に)計画しているんだけど、一口乗るかい?」と提案したら、ものすごい乗り気になってくれた。
協同所有者は、お互いに連絡し合って、空いていればゴアの家を使うというスタイル。
シェアハウスは、わたしたちが年老いて引退するころには、当たり前の概念になっているかな。

そしてBさんとの会話からも、正しいと思えることには、迷わず進もうという姿勢を学んだ気がした。
別れ際に、「これ、あなた音楽好きだから」とくれたフランスの音楽が詰まったCDの外装に、「あなたとはもっとたくさん会いたかったわ」とメッセージが書いてあって、思わず泣けてきた。
残念ながらわが家にはCDプレイヤーがないので、日本に一時帰国したときに聴くことにしよう。

ほかの国のことはよく分からないけど、プネーに長く住んで、いろいろな国の人と交流してたりすると、ぼやぼやしているとすぐ、せっかく友達になった人が帰国してしまうことになったり、街を離れてしまうことになったりして、めったに会えなくなる、という経験が非常に多い。
そのたびに、人との出会いが一期一会であることを、しみじみと思い知らされる。
なぜならやはり、メールやメッセンジャーなどで、それほど頻繁に連絡を取るとは限らないからだ(ってそれオマエやろ)。
だからこそ、会えるうちに会っておこうという気持ちが強くなる。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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