印日チームが合同で取り組む、ガンジスカワイルカの保全調査

 

Posted on 26 Feb 2017 23:00 in インド科学技術 by Yoko Deshmukh

その生態は依然として謎に包まれているとされているガンジスカワイルカの調査に、日本とインドのチームが取り組んでいます。



※ちなみに写真は、京都の鴨川です。
 

昨日付の「The Better India」で、大河ガンジスに棲息し、乱獲や水質汚染によって国際自然保護連合(ICUN)により絶滅危惧種と指定されているガンジスカワイルカの保全調査に、日本とインドの研究者が合同で取り組む様子を詳しく紹介していた。

How a Japanese and Indian Team of Engineers Came Together to Trace the Missing Dolphins of Ganga

日本から調査に参加している、東京大学特任研究員の杉松治美さんが作成された報告書に、調査の概要が記されている。

ガンジスカワイルカの長期生態音響モニタリングプログラム(リンク先はPDF)

インド側での調査を率いるのは、インド工科大学デリー校電子応用研究センターのラジェンダー・バール(Rajendar Bahl)教授だ。
この2人は2004年に、日本近海を回遊するザトウクジラの合同生態調査に取り組んだことをきっかけとして、当時ほとんど詳細な生態が知られていなかったガンジスカワイルカの調査に2006年から取り組んでいる。

ガンジスカワイルカは生態範囲が広く、しかも頭数が激減してからは調査が困難とされてきた。
インド政府が行ってきたこれまでの調査方法は、ボートに4人が乗り込み、別々の方向を向いて4分おきに息継ぎのため水面に顔を出すとされるイルカを数えるという人力に頼ったもので、当然1頭のイルカを複数頭を数えてしまうこともある。

調査により最先端の音響探査技術を導入、水中ロボットを川に沈め、ハイドロフォンでイルカたちの発する鳴き声を捉えるという方法により、生態の解明に取り組んでいる。

最先端の音響探査技術と通信技術で謎が多い、カワイルカの生態を観測

以前にどなたかの著書で、ヴァラナシでガンジス川に身を浸して沐浴し、ついでに沖へと泳いで行ったら、突如として目の前の水面から「ぬるっ」とカワイルカの巨大な背中が現れて度肝を抜かれたというような記述があり、川に棲むイルカがいること(ヨウスコウカワイルカなど)を生まれて初めて知った。
たくさんのイルカさんたちがまた戻ってきて、跳ね回っているようなガンジス川になるといいな。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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