名優揃いの抱腹絶倒「印僑」ドラマ、「Today's Special(本日のおすすめ)」

 

Posted on 25 Feb 2017 23:00 in エンターテインメント by Yoko Deshmukh

豪華キャストがさりげなくお届けする痛快ストーリーでした。日曜日のおともに、ぜひいかが。



IMDbより
 

日本では昨日、2月24日金曜日から、月に1回早めに仕事を切り上げましょうという「プレミアム・フライデー」が導入されているという。
フリーランスにとっては、それはもしかすると、週末をまたにかけて受注できる業務の量が増えるかもしれないということ以外は、あまり関係ない。

ところで、日本では社員に副業を許可する企業が増加しているという。
これはフリーランスにとっては脅威だ。
給与という安定と、会社員ならではの豊富な経験をインプットしながら、自らの才能を花開かせてさらなる収入を得ることができるなんて。
「これあ絶対に負けられん」と、ひそかに闘志を燃やしているのである。

などということを悶々と考えていた今週末、たまたま「Netflix」で2009年の映画「Today’s Special(邦題:本日のおすすめ)」を鑑賞した。
インドの「Netflix」は、高画質を求めなければ月500ルピーから契約できるので、あの「東京裁判(Tokyo Trial)」観たさに加入した1ヶ月の無料お試し期間を経て、シッダールタが契約してくれた。

ニューヨークに移民したインド人2世の息子が、料理人である自らのキャリアを生かして、父親が渡米後の苦労の末にインド人街で始めたはいいが、経営が立ち行かず傾きかけている小さなレストランを建て直そうと奮闘する、というストーリーだ。
今年亡くなったオーム・プリ(Om Puri)さん主演の2014年作品、「The Hundred-Foot Journey(邦題:マダム・マロリーと魔法のスパイス)」は設定が似ていたのかな、と思い起こさせるが、こちらはまた独特のおもしろさ。
主人公の俳優さんも素敵だが、父役のハリーシュ・パテル(Harish Patel)さん、母役のマドゥール・ジャフリー(Madhur Jaffrey)さんをはじめ脇を固める人たちもそうそうたる面々だ。

個人的には、いつも店を溜まり場にしている3人のおじさんたちのひとり、クマール・パラナ(Kumar Pallana)さんに今回も釘付けだった。
特にお皿を回している場面で、「いや、絶対どこかで一度お見かけしたんだけど、どこだったかどうしても思い出せない」と苦悶していたら、あのトム・ハンクス(Tom Hanks)主演2004年映画「The Terminal」でタミル・ナードゥ州からの不法移民を演じていた人だった。
残念ながらパラナさんは、2013年に亡くなられている。

インドの事情をある程度知る人が観ると分かると思うが、インド料理に使うスパイスは、素材の状態によって微妙に配合が変わるため、計量スプーンで測って調合できるようなものではないこと、主人公と喧嘩しキレて辞めたシェフ(髭をヘナで見事なオレンジに染めていてこれも独特)が、オーナーである父親に電話した時に説明した事情が事実とは全然違っていること、そしてわたしにとっては「モンスーン・ウェディング(Monsoon Wedding)」で出会って以来、ずっと記憶に残っていた名優、ダンディな風来坊のアクバール(Akhbar)を演じたナシールッディン・シャハ(Naseeruddin Shah)の演技に魅せられた。

「昔ムンバイのフォーシーズンズ・ホテルでシェフだった」と言うアクバールのおかげで、レストランはたちまち口コミで評判が広まり、客が絶えない繁盛店になるのだが、その生き方はあくまで潔く、まさに生粋インド生まれのフリー・スピリット。
ひとつひとつのスパイスの特徴を、人の生涯の様々なステージにたとえて詩的に表現したり、旧フランス領のポンディシェリーは「フランス料理とインド料理が融合した、世界一料理がうまい場所」と言ったり。

作品にはインドの場面はひとつも出てこないのに、なぜだかインドを旅したくなる、そんな不思議なストーリーだった。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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