貧しくとも未来を感じられる、移住者たちが支える公立学校教育の「質」

 

Posted on 15 Feb 2017 23:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

州選挙の投票日が迫り、「移住者を排斥せよ!」「地元民の職を守れ!」などと、どこかの大統領かのように口角泡を飛ばす某シヴ・セーナーのような人たちが、街宣カーで跋扈する、わが町プネーより。



ムンバイやデリーはもちろん、プネーも含む都市部では、他州や多言語地域から来た「移住者(Migrants)」たちが、それぞれのコミュニティで助け合って暮らしていたり、一定のエリアにかたまって住んでいたりするケースが多い。
「地元民(Locals)」との付き合いは、どことなく異文化交流のようだ。

こうした風潮は、インド人が海外移住した場合にも同様に受け継がれているように思える。
たとえば有名な東京の西葛西には、インド人、とくにマハーラーシュトラ州プネーの人たちがかたまって住んでいるそうだ。
マハーラーシュトリアン料理を出すレストランも、いくつかあると聞いた。
これだけ人数の多いインド人だから、世界中の主要都市に比較的まとまった数の同胞がいるものと推測できる。
国内と同じように、民族や言語ごとのコミュニティでかたまって住むことは、実はそんなに難しいことではないかもしれない。

本日は、そんな移住者たちのおかげで、教育の質に変化が訪れた学校のことを、ザ・ヒンドゥ(The Hindu)紙が報じていた。
日本でも聞くような話だが、こちらはスケールが違う。

How migrant workers’ children save a city school

インド国内には、市町村が運営する、授業料が格安の公立学校も数多くあるが、農村部などになると子供たちがいまだに働き手となっている世帯が多かったり、校区ごとの整備が遅れているため、学校が遠すぎて通えない子がたくさんいたり、さらに教育の質があまりよくないので、比較的裕福な人たちは親戚や縁故を頼って都市の私立学校に子供を通わせたりしているため、学生数が伸び悩み、運営上の危機が訪れているところも少なくない。

ケーララ州バイライックラム(Bairayikkulam)県の公立小学校も、存続の危機に立たされていた学校のひとつだった。
この学校で学ぶ児童13名のうち12名位は他州からの移住者。
すなわち母国語は現地のマラヤラム語でなく、ベンガル語やタミル語だ。

このため、「すべての子供たちには最高の教育を受ける権利がある」という理念を持つ校長のシャマラ(Syamala V.K.)さんの指揮の下、インドの国語のひとつであるヒンディー語の特訓と並行して、マラヤラム語と英語と両方で授業を実施している。

「子供たちはとても覚えが早い。あっという間にマラヤラム語で詩を暗唱できるようになる」シャマラ校長。

子供たちの多くは、親が労働者などの非常に貧しい世帯の出身だ。
収入が安定せず、子供に教育を諦めさせてしまうような判断を、いつしてもおかしくない。
しかしよりよい機会のために他州へ踏み出し、この学校に巡り会い、子供は母国語のほか、ヒンディー語、英語、そしてマラヤラム語を理解できるようになった。
こうした教育へのきっかけ作りが、教育の続行を大いに後押しすることになるのは間違いない。

「公立学校を存続させるため、最善を尽くしていきたい」シャマラ校長は語った。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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