名前と誇り:インドで自分を取り戻したアメリカ生まれ育ちのパキスタン人女性
Posted on 01 Sep 2016 23:00 in 海外のインド人 by Yoko Deshmukh
この子がインド中どこへ行っても同じように、分け隔てなく温かい気持ちで迎えられるようであればいいな。だって「同胞」なのだから。
*Photo from The Better India
数日前、一般のインド人の中に、パキスタン人に対する無根拠の差別意識を持つ人がいるという事実について、友達と話し合ったことがあった。
日本人の中にも他の国籍の人のことを無条件にばかにする人がいるが、そうした狭量で学ぶ意欲のない人は世界中どこにでもいる。
そんな中、本日付の「The Better India」ブログで、アメリカで生まれ育ったパキスタン人女性が、インドを旅行して初めて、自己のアイデンティティに対する誇りを取り戻したという話を読んで、個人的にうれしい気持ちになった。
I Am an American-Born Pakistani but Only in India Did I Feel at Home with My Name & Identity - The Better India
彼女によれば、一般的なアメリカ人で、女性の名前である「ファティマ(Fatima)」を正しく発音できる人がほとんどいないようだ。
さらに9.11以降のアメリカでは、イスラームを彷彿とさせる名前は、空港の保安官により「要注意人物」と判断され、別室に呼ばれる確率が非常に高いという。
ところが、まだ24歳とうら若きファティマさんが、祖父より兼ねてから「色鮮やかな美しい国」と聞いてきたインドを初めて訪れた時、想像していた通りの国や人との出会いとともに、これまで抱いてきた名前に対する引け目が消えたという。
運転手からホテルの受付まで、ファティマさんの名前はごく自然に発音された。
そればかりか、イスラーム教徒であることで嫌な顔をされることなどないし、「ファティマの由来を知っているかな?君は、とても美しい名前をもらったんだよ(ファティマとは、イスラーム教の預言者ムハンマドの娘の名前とされている)」と賞賛される。
インドを訪れたことで、自らの名前を堂々と名乗り「私のルーツを感じ、私の血に流れる歴史と先祖たちの闘い、そしてパンジャーブ人としての誇りが呼び起こされた」というファティマさん。
そういえば、わたしの名前「陽子(Yoko)」は、この上なく簡単な発音のはずだが、なぜかインド人の中にうまく発音できない人が一定数いる。
多いのは「ユーコ」、「ヤコ」で、「ヨ・ウ・コ」と区切って発音しているのに、まったく違うスペル(Yaukoなど)が書かれていたりする。
名前って、時に難しい。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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