かつてプネーでは、コーヒーといえば粉末をお湯に溶かすインスタントタイプや、街中のレストランで提供される、ミルクや砂糖がたっぷりのフィルターコーヒー、または(スタバ進出以前からあるCafe Coffee DayやBaristaなどの)モダンなカフェで楽しむカプチーノが一般的だった。
家庭でのコーヒードリップスタイルがどこまで一般的になっているのか分からないが、プネーでも「Amazon.in」などを利用すれば、日本メーカーの「Hario」や「Kalita」といったコーヒー抽出器具(たとえばドリッパーやミル、ペーパーフィルターなど)をワンクリックで入手できるようになって久しい。
豆も、「The Third Wave」や「Blue Tokai」などでホールビーンズを取り寄せることができるので、道具をそろえれば自宅ドリップコーヒーを気軽に楽める。
先日、何年も前に日本から持ち帰って使っていた手動式のハンディグラインダーがついに寿命を迎えた。
正確に言うと、長年愛用していた「Hario」の手挽きグラインダーに取り付ける、モーター付きの別売りアタッチメント(手挽きの手間を省くために、高速回転で刃を回すもの)を支えるプラスチック部分が経年劣化で割れてしまい、「パチン」という音とともに飛び散ったのだ。
目に破片が当たらなかったのは不幸中の幸いだった。
この経験から、今度はモーターも本体も一体化したコンセント式のグラインダーを購入しようと「Amazon.in」を物色し、レビュー評価が高かったこちらをチョイスした。

容器(ホッパー)内の刃(グラインダーバー)部分が高速回転して、あっという間にちょうどよい粗さまでコーヒー豆を粉砕してくれる。
コンセント給電なので充電を気にせず使える点もよい。
通常のドリップは、日本の「Kalita」製の陶器ドリッパーに無漂白ペーパーフィルターをセットし、その下に保温性のポットを置いて抽出している。
細口のケトルを使って湯量を調整しながら淹れると、安定して美味しいコーヒーができる。
今回、新しいグラインダー導入で豆を挽くのがぐっとラクになったこともあり、さっと1杯だけ飲みたいとき用に1杯立て専用のドリッパー(フィルター)も買ってみた。

これで、1杯分が個包装されたドリップバッグコーヒー(10杯入りで500ルピー前後)を都度買う必要がなくなり、コストパフォーマンス的にも大満足。
お気に入りの豆をまとめて挽き、サッと淹れられるので、手軽さがぐんと増した。
このようなコーヒー器具一式を揃えて自宅でドリップコーヒーを楽しむ文化は、日本ではかなり浸透しているが、インドではまだまだ発展途上。
とはいえ、オンライン通販を利用すれば必要な道具はすぐ手に入り、おいしいコーヒー豆もカルナータカ州やタミル・ナードゥ州、ケーララ州などの高原地帯に広がるプランテーションで栽培された国内産のものを買うことができる。
自宅でのコーヒードリップを楽しみたい人にとっては、以前よりも格段に敷居が下がっている。