インド都市部独自の課題とは

 

Posted on 08 Nov 2024 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

ル・コルビュジエが設計したチャンディーガル(Chandigarh)などの都市を除いて、全体的に無計画すぎるよね。写真は山の上まで家が建ち並ぶメガラヤ州シーロンの市街地です。



「The Hindu」で、「世界都市デー」だった10月31日を記念し、インドの都市の抱える課題を論じるコラムを掲載していた。

What are the major challenges faced by Indian cities? | Explained

世界の都市人口は推定47億人、つまり総人口の57.5%に達し、2050年までに倍増すると予測されている。
国連は、都市がこうした都市の急速な過密化と不平等の拡大、またそれに伴うインフラの不備に加え、急激な気候変動という前例のない課題に直面していることを強調する。

うち欧米諸国では、工業化に続いて都市化が進み、農村部の労働力を吸収する雇用が生まれた。
欧米の都市化が持続したのは、植民地からの大規模な経済移転によるものであり、経済学者のウトサ・パトナイク(Utsa Patnaik)氏は、植民地時代にインドだけでイギリスの経済に45兆ドル以上貢献したと指摘する。

対照的に、インドの都市化は主に経済危機によって引き起こされ、「貧困主導の都市化」をもたらし、農村から都市へ、また都市から都市への移住が進み、さらにコロナ禍では(都市から農村への)逆移住の動きが、人々にインフラのギャップをあらためて気づかせた。

課題として、(2021年の国勢調査がコロナ禍によって実施されていないため都市人口に関する正確なデータがないものの)世界銀行の推計ではインド人口の約40%が都市部および法定市町に住むとされ、稚拙な空間計画に、気候変動や大規模な移住ダイナミクス、拡大する不平等および社会的分離、ガバナンスの限界などを挙げている。

空間計画や時間計画(temporal plan)が時代に沿っておらず、人口増加に対応できていない点も深刻だ。
1980年代以降、アーメダーバード、デリー、スーラト、ムンバイーなどの大都市では、産業空洞化により失業が増加、職を失った多くの労働者は、都市周辺地域に移り、過密な状況で暮らしている。
また現在、都市人口の40%がスラム街に居住する。

都市計画が人々のニーズよりも資本増加に重点を置きがちである点も問題だ。
そこへ気候変動による深刻な汚染や都市洪水、そして「ヒートアイランド効果」の影響が直撃している。

都市化による格差の拡大としては、富裕層向けの開発が進む一方で、基本的な住居すら得られない人が億単位で存在する。
都市の雇用のほとんど(約90%)はインフォーマル・セクター(法人手続きを取っていない企業の経済活動)によるものであり、労働条件が劣悪で雇用が安定していないことが多い。

地方自治体に必要な機能と権限を与えるインド憲法第74条改正法にもかかわらず、都市のほとんどは非民主的な団体によって担われている。
都市計画を行政が管理することはほとんどなく、準政府機関や民間企業に外注されている。
たとえば、第12条に列挙されている18の機能のうち、自治体に普遍的に移管されているのは3つにも満たず、包括的な国家介入の必要性を浮き彫りにしている。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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