自らの生活よりも200人を超える子供たちの学費を優先する男性の、徹底的な「ペイフォワード」精神

 

Posted on 28 Mar 2016 23:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

このストーリーを読んで胸を打たれ、喉元にこみ上げるものがありました。ここまで自己を投じ社会のために尽くし、慈愛に満ちた、名もなき方が、ムンバイにいらっしゃいます。



*The photo from Humans of Bombay

本日付の「The Better India」で、無私の精神で200人を超える子供たちの教育費を寄付している男性の話題が掲載されていた。

He Thinks Twice Before Ordering Biryani. But This Man Has Sponsored the Education of 200 Children.

人は得ることで生計を立て、与えることで生きがいを作る(We make a living by what we get. We make a life by what we give)」とは、ウィンストン・チャーチル(Winston S. Churchill)による名言とされている(チャーチル氏に関して記録されている実際の人物像については、ここでは触れないでおく)。

言うは易く行うは難しであり、人はある状況に遭遇して、心から与えられるか、それとも見なかったことにして歩き去るか、二者択一を迫られる。
うち前者を、まさに地で行く男性が、ムンバイにいた。

決して裕福であるとは言えない、この男性は、15年前のある日、勉学を続けたいという強い意志を持っているにも関わらず、家庭が貧しく両親が学費を支払えないため諦めざるを得なくなった少女と出会い、親の代わりに学費を支払うことに決めた。

以来、同様に貧しくて学校に行けない、向学心のある子供たち200名分の学費を肩代わりしてきた。

男性のストーリーは、元の記事である、SNSでムンバイの名もなき偉人たちを取り上げる「Humans of Bombay」からの引用で、次のようなストーリーとなっている。

「15年前、妻が、家庭が貧しくて学費を出せないため、学業を続けたいのに退学を余儀なくされそうになっている少女と出会い、自宅に連れ帰ってきた。
この娘は学業を続けることに強い熱意を持っていたので、私はすぐ、学費の面倒を見ることを決めた。

以来、路上生活を余儀なくされるストリートチルドレンに出会っては、学校に行っているかを訊ねるようになった。
そして貧しさから学校に行けないという者がいれば、学費を出してやることにした。
今日までに、そうして大学や高等教育までも含めて、学費を肩代わりした子供の人数は200人を超える。

2001年、この試みを始めた当初の私は、割と羽振りもよく、快適に暮らすのに十分な給与を得て、何でも買えた。

しかし、ある事故を境に、人生が180度変わった。
左足は不自由となり、右目はまったく見えなくなり、しかも事故以来4年間の療養生活で、貯金もほとんど底を尽きた。

しかし妻と私は、自分たちのことよりも、子供たちの学費のことを優先した。
現在も40名の子供たちの学費を出している。
学業を終えて社会に出た子供がいれば、その負担が減った分で、新たな子供の面倒を見るだろう。

それに引き換え、自分たちの生活ときたら、時にはビリヤーニ(Biryani:肉を具材にスパイスで味付けした炊き込みご飯)を買って食べたくなることがあるんだが、お金に余裕がないので、少なくとも2回はよく考えるな。

それでも、私たちはこの上なく幸福なんだ。
なぜなら、私たちの『子供たち』は今、大企業や外資系企業で活躍し、たくさんの給与をもらえるようになっているからな。

もちろん多くの子たちが、学費を返そうと申し出るんだよ。
それで私たちの老後の生活が楽になるだろうとな。

でも、そんな金があるのなら、私たちに返す代わりに、他の誰か必要とする人を支援するようにと、断っているんだ。
それこそが、100倍ものお返しになるとな。

その言葉通り、私たちが15年をかけて学費を援助してきた子供たちの多くは、立派な大人として成長した今、かつての彼らと同じく、貧しくて学校に通えない子供たちの学費を支援しているんだ。
私たちの理想としてきた世界が、ようやく築かれるようになってきたんだよ。」

Humans of Bombay
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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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