インド工科大学（IIT）マドラス校が、タンザニアの半自治州であるザンジバルにIITとして初の海外キャンパスを開校した。
これを機に、タンザニア、ザンジバル、そしてインドとの歴史的なつながりについて紹介する記事を見つけた。

Zanzibar: For centuries, a home to Indians; now an IIT

タンザニアとインドは、少なくとも16世紀ごろにさかのぼる歴史的なつながりを共有している。
特にザンジバルには強力なインド人コミュニティがあり、裕福で政治的に活動的であったことから、特権的な立場にあったとされる。

インドの貿易商はペルシャやアラビアの貿易商とともに、アフリカ東部沿岸地域と古くから商業的なつながりを持ち、その歴史は西暦1,000年ごろにさかのぼる可能性がある。
実際、ギリシャで発見された、そのころのものとされる文書には、同地域で取り引きされていたインド製のガラス玉、綿の衣類、秤、タカラガイなどの品目についての記載がある。

また別の記録によると、ポルトガルの探検家バスコ・ダ・ガマ（Vasco Da Gama）が15世紀から16世紀初頭にかけて東アフリカの沿岸都市に到達した際、その地域にインドから来たヒンドゥー教徒とイスラーム教徒が多数おり、そのほとんどがグジャラート州周辺出身の貿易商であることに驚いたという。
実際、ポルトガル人の到来と東アフリカ沿岸貿易への介入は、アフリカとアラブとの貿易関係を破壊したが、インドについては、イスラーム教徒以外の血統を持つインドからの貿易商は、ポルトガル人の下で有利な立場にあったため、影響は比較的少なかったとされている。

一方ザンジバルでは、インド人の大量移住のきっかけは1648年、オマーンのヤルバ（Yaruba）王朝がモンバサでポルトガル人を破り、東アフリカからポルトガル人を追い払った時に訪れた。
オマーンの海外領土となったザンジバルを統治することになったスルターンが、当時マスカットに居住していた、主にグジャーラートおよび隣接するカッチ周辺出身の1,000人以上をはじめ、周辺地域に在住していたインド人たちの移住を奨励、ザンジバル港の税関長など政府の重要な地位に就かせると同時に、無税貿易、保護、奨励金も提供するなど手厚い待遇をした。

インド人はザンジバルに拠点を置く営利企業に多額の投資を行い、そこから莫大な利益を得て、多額の財産を築いた。
また奴隷遠征に資金を提供しており、また奴隷所有者でもあった。

1890年にザンジバルはイギリスの統治下に入り、1963年の独立まで保護領とされたが、その間のインド人たちは、ザンジバル独立のために戦うだけでなく、自らの政治的権利を主張する上でも重要な役割を果たした。
増税と新法に反対する目的で1909年に起こった最初の組織的な抗議活動を皮切りに、1930年代まで、主にインド人が支配していたクローブ産業を規制する植民地政策に対する抵抗運動が起こった。
こうした地域のインド人の経済的および政治的権利を代表するインド国民協会（INA）が設立され、ジャワハルラール・ネール、スバーシュ・チャンドラ・ボースなど、当時インド亜大陸で最も力のあった民族主義指導者らからの注目を集めた。

1964年のザンジバル革命中には、主にアラブ人を対象とした襲撃事件が発生、多くのインド人がタンザニア本土に逃亡した。

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