叔父の奮闘を引き金にスマートスプーンを発明した高校生

 

Posted on 12 Nov 2023 21:00 in インド科学技術 by Yoko Deshmukh

心優しい天才少年に、生涯の幸運と繁栄あれ。



ロボット工学を応用し、手の震えがある人も、尊厳を持って食事が取れるようなスマートスプーンを、17歳の学生が発明した。

Indian Robotics Student Invents a Smart Spoon

バンガロールに住むアーラウ・アニル(Aarrav Anil)さんは、母親に買ってもらったレゴブロックを用いたメカニック制作に10年前からハマっている。
これがロボット工学への関心に発展、世界20か所のロボコンに出場するようになった。

今回のスマートスプーン発明の動機は、パーキンソン病を患う叔父の苦労を目にしたことがきっかけだった。
インドではパーキンソン患者が700万人以上とされ、震えにより日常生活に支障を来していることも知った。

そこで、ロボット工学の知識を使って何とかできないかと考え、マイクロコントローラー、モーター、センサー、3Dプリンターを入手、子ども部屋で発明に着手した。

しかしアーラウさんによると、「国産の超小型精密電子部品がなかなか入手できず大変だった。そこで中国から注文したが、届くまでにかなり時間がかかった」などと、苦労話も絶えない。

試行錯誤の末に完成した設計図は、2022年の世界ロボットオリンピックの「フューチャー・イノベーター」部門で1位を獲得、最初のプロトタイプを作ることになった。
しかし試作第1号は滑りやすく、叔父には使いにくかったため、バンガロールの理学療法系大学RV College of Physiotherapyでの試験に持ち込んだ。

こうして大学からのフィードバックに基づき、繰り返し設計を微調整し、さらに内部のすべての電子機器を損傷することなく洗浄できるような防水性も必要であることから、先端部を取り外し可能な構造にした。

同大学で実施されている試験は2024年初めまでに完了する予定で、結果は医学誌に掲載される予定となっている。
アーラフさんは試験が終わり次第、スマートスプーンを病院向けに小規模製造したいと考えている。

米国製のスマートスプーンはすでに存在するが、多くのインド人にとっては価格が高すぎるという問題があった。
アーラウさんのスプーンの価格は1本およそ80ドル程度となる見込みで、将来の目標は「パーキンソン病を患うすべての人が、スマートスプーンで食事をおいしく取れるようになる」ことだ。

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Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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