スラムの子供たちに希望の道を: ボランティアでクリケットを専門に教えるコーチ
Posted on 20 Mar 2016 21:30 in インドスポーツ by Yoko Deshmukh
「夢」や「大志」、こうした言葉が陳腐ですらあり、実体を持ちにくい世界があり、そこになんとか光明をともそうと取り組む人がいます。
*Mr. Pandir, from BBC
現在、インド全土を舞台にクリケットW杯「T20」が繰り広げられているが、昨晩は因縁のインド・パキスタン戦(インドがウィケット6得点で勝利)とあって、団地中から「ヒャ~」とも、「ヒュ~」ともつかぬ歓声が賑やかだった。
このようにクリケットはインドの国民的スポーツとして、依然として王座の地位を占め、プロのプレイヤーやナショナル・プレイヤーになることは、人生の成功を約束されることでもある。
今月13日付でBBCが、貧しい家庭背景の子供たちにクリケットを教え、大志を抱くことの大切さを教えている男性について紹介していた。
Nurturing slum children's passion for cricket
元公務員のラジェッシュ・パンディル(Rajesh Pundir)氏は昨年10月、その名も「スラム・クリケット・リーグ(Slum Cricket League)」を立ち上げ、デリーのスラム街に住む子供たちを集めて、専門的なルールに基づくプレーを教えている。
父親を模範として7年前から社会事業を始め、2年前からはNGO団体「Community Foundation Charitable Trust」の設立者として、社会的に恵まれない状況にある女性や子供たちなどの支援にあたってきたパンディルさんにすれば、子供たちのプレーぶりはプロにも劣らぬ鮮やかさで、コーチとサポートさえあれば、格段の上達を望めるという。
すり減ったバットとボールでクリケットを楽しむスラム街の子供たちを見て、かれらに必要なものとは何かを、志を同じくする仲間たちと話し合った結果、それはプロのクリケット・コーチだ、という結論に達した。
賛同者からの寄付金を得て昨年9月、「スラム・クリケット・アカデミー(Slum Criket Academy)」を立ち上げた。
現在100名以上の子供たちが参加するアカデミーでは、既に昨年10月と12月にトーナメントを開催、3回目のトーナメント試合は4月に予定されている。
「クリケットはインドの宗教であり、クリケット選手は、その神として君臨する。子供たちはプレーできる喜びを全身で噛み締めている。きちんとコーチしてやりさえすれば、その意欲が開花すると信じている」パンディル氏。
これまで世間から無視され、虐げられ、悲惨な生活に甘んじてきたスラムの子供たちの目の前に、突然大きな夢が広がった。
「僕はサチン・テンドゥルカル(Sachin Tendulkar:近年引退した伝説的な名選手)のように成功して、家族のために豪華な家を建てたいんだ」ある男の子。
「子供たちがクリケットに熱中することが、一体どんな役に立つのか、最初は分からなかったけど、昨年のトーナメント試合で本当に生き生きとプレーする息子を見て、あの子が希望を叶えて、輝かしい人生を送ってくれればと願うようになった。まさに大志をもたらし、人生を変えるゲームだ」母親は話す。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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