インドで活躍するインド人の遺跡修復家、イタリア大統領により叙勲

 

Posted on 14 Mar 2016 23:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

内容と直接関係ありませんが、以前友人が「インド人はイタリア人と顔立ちが似ているので、昔の白黒映画でイタリア映画を観ていると、出演している俳優はインド人ではないかと錯覚することがある」と言っていたことを、このオヤッさんの写真を見てつくづくと実感しました。



*The photo from Your Story

ヒマラヤ山脈の中腹、気候が冷涼なナイニータール(Nainital)を拠点に、遺跡や古文書、彫刻や街並みなどの芸術作品修復家として活動するアムパム・サー(Anupam Sah)氏(46)が、その「優れた修復技巧」に対してイタリア政府から勲爵士(Knight)に列せられた。
Your Storyが報じた。

Italy knights 46-year-old Anupam Sah for his outstanding work in restoration techniques

非営利団体「ヒマラヤの遺産と芸術保存のための協会(Himalayan Society for Heritage and Art Conservation:HIMSHACO)」の設立・運営にも取り組むサー氏は、今回の叙勲について「インドが誇る豊かな遺産に、より大きな注目が集まり、次世代までの保護に繋がればうれしい」と述べた。

イタリア政府は2月24日付けの書簡で、セルジオ・マッタレッラ(Sergio Mattarella)大統領の名前で、サー氏に「Knight of the Order of the Star of Italy(Ordine della Stella della Solidarietà Italiana:共和国市民連帯星勲章)」を叙勲すると発表した。 
サー氏は、海外でもドイツ、フランス、イタリア、イギリス、スコットランド、スリランカ、インドネシア、ネパールなどの遺産保全に取り組んできた。
また、
ムンバイのプリンス・オブ・ウェールズ博物館(Prince of Wales Museum)(現名称「チャットラパティー・シヴァージー・マハラジ・ヴァストゥ・サングラハラヤ(Chhatrapati Shivaji Maharaj Vastu Sangrahalaya)」)の客員研究員としても活躍している。

オリッサ州プリー県ラグーラージプール(Raghurajpur)村など、古い遺跡の数多く残る街並みの保全と開発を両立させるプロジェクトや、ブバネシュワル(Bhubaneswar)の「旧市街活性化プロジェクト(Old Town Revitalization Project)」にも参加、中央省庁と州政府との交渉などを担った。

現在はナイニータールでインド中から集まった保存修復家らとともに、インド観光文化省(Union Ministry of Tourism and Culture)文化庁が立ち上げた「国立古文書保護ミッション(National Mission for Manuscripts)」に関わり、貴重な古文書の保存と復元を通じて、一般の関心を集め、教育や研究での活用奨励を推進している。

ちなみに筆者の個人的な意見では、インド政府は遺跡の保護に無関心であるか、軽んじる傾向にあるのではないかという印象を抱いている。
貴重な古代の遺産も、入場料だけは外国人料金に高額をせびり取る割には、適切な保護が行われておらず、傷むに任せているようなところがあり、そうした遺跡を訪れるにつれ、強い憤りを感じる。
このような方の活動が、インド政府でなく海外から尊重されている現状を見ても、このことはよく分かる。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments