ニルギリ高原の避暑地ウーティにある、謎の庭園

 

Posted on 13 Mar 2016 23:00 in トラベル・インド by Yoko Deshmukh

このようなコツコツ型の脅威の人が、インド各地にけっこういます。



*The photo from The Better India

タミル・ナードゥ州の誇る世界的に有名な茶産地、ニルギリ高原にある、標高2240メートルの風光明媚な避暑地、ウータカマンド(Ootacamund)、通称ウーティ(Ooty)に、世にも珍しい庭園があるという。
The Better Indiaが伝えた。

Your Next Must-Visit Destination in India: A Unique Garden Made of Threads in the Nilgiris

この庭園に一歩足を踏み入れると、「絶対に枯れることのない」色鮮やかな花や草木が目を楽しませてくれる。
それもそのはず、これらはすべて、「刺繍糸」で手作りされているのだ。

その名も「スレッド・ガーデン(Thread Garden:刺繍糸の庭園)」と呼ばれるこの庭園に並ぶ花々や植物、芝生は、アントニー・ジョセフ(Antony Joseph)さんという方により、キャンバスとワイヤ、接着剤を用いた「4次元手巻き刺繍(four dimensional hand wound embroidery)」なる秘儀を用いて、たったひとりで製作されたもの。

もともと私立大学の講師をしていたジョセフさんは、父の亡き後、繊維ブラシと木製アクセサリー事業を受け継ぎ、繊維業の世界的大手、「Coats India」との関係構築をしながら、少しずつ趣味のハンドメイド製作にも身を入れるようになった。

「最初は、Coats製の糸を使ったキャップ、ウィッグ、ブラシなどを作っていましたが、同社の展示会に出品したことをきっかけに、さらなる商品開発の機会が与えられました。そうした中、「手巻き刺繍」という画期的な技巧を考案、同社から原料となる糸を無料で供与されるまでになったのです」

1988年には9名の女工を雇い、この技巧を用いた花や植物の製作を開始した。
具体的には、キャンバスを葉や花びらの形にカットし、接着剤を使用して、糸をキャンバスに丁寧に巻いていく。
針もミシンも使用しない、いわば掟破りの刺繍糸の用途だが、ワイヤを用いて雄しべや雌しべ、花糸に至るまで美しく再現するには、相当の労力と繊細な手さばきが必要だという。

仕上がった花や草木は、色使いから佇まいまで、一見して本物と遜色のない精巧さということで、ぜひ一度は見てみたいものだ。

インド各地の展示会に出品すれば、瞬く間に売り切れてしまうほどの人気商品になっていると言い、1993年より女工を50名まで増やして、職業訓練の一環として工芸作品の製作指導を行う傍ら、ウーティ・ボート・ハウス(Ooty Boad House)向かいの現在地に、世界初の刺繍糸でできた草花が並ぶ庭園の設立準備を進めてきた。
現在は、ニルギリを訪れる観光客で賑わう人気スポットとなっているという。

ジョセフさんはギネスブックへの登録はもちろん、インド版ギネスブック、「リムカブック(Limca Book)」入りを目指して、より本物に見えるような色調の工夫を重ねている。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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