「発泡スチロールやめよう」、今こそ必要な環境配慮型の食品容器
Posted on 30 Nov 2015 10:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
「COP 21」目前、ベンガルールのモールが環境問題に小さな一歩です。
*Photo from "The Better India," where the article is inspired.
ショッピングモールに併設された広々としたフードコートは便利なので、わたしも時々利用するが、質の悪い発泡スチロール製の容器に、溶解しそうな勢いで熱々の料理が盛られ、それを今にも折れそうな、材質のもろいプラスチック製のフォークで食べるのは、いかにも味気ないし、もちろん環境にも害があるだろう。
わたしのような凡人は、こうしたことを漠然と憂い、時に不平を言うばかりであるが、現状を変えようと行動を起こしている人たちがいる。
ベンガルール(旧バンガロール)の巨大ショッピングモール、「Phoenix Market City」では11月初旬から、フードコートで使用する使い捨ての食器類に、発泡スチロールの使用を禁じ、代わって環境に配慮した素材を採用している。
この決定を導いたのは、同市を拠点に活動するNGO団体、「Naanu Nagarika(『I am a Citizen』という意味の現地語)」だ。
「The Better India」の記事が紹介していた。
発泡スチロール製の食器は、調理したての熱い食品を盛り付けると、その構成成分であるベンゼンやスチレンが溶け出し、発がん性のある毒性化学物質となって摂取した人体に悪影響を与えることは、日本であれば誰もが知っていることだろう。
またリサイクルも非常に難しい。
ところが現状では、こうした素材が便利さと安価さから使い捨て食器として広く使用されているのがインドである。
政府も特に規制を設けていない。
このためNGO団体は、まずは前述のショッピングモールに的を絞り、フードコートでの発泡スチロール容器の使用をやめるよう、大変な苦労を要して働きかけてきた。
具体的には、300名分の署名を集め、発泡スチロールの代わりに、使い捨てない金属(インドの家庭では広く金属製のターリー、いわゆる大皿に数種類のおかずを盛り付けて食事をしている)やメラミンを素材とした食器、また使い捨てであればビンロウジュの樹皮を素材とする、自然に還る食器の採用を提案、数カ月の交渉を経て、モール側の了承を得たという。
今月はじめには準備ができたため、同モールでは運用を開始している。
ビンロウジュ樹皮の食器も、どこかの屋台かフードコートで使用したことがあるが、日本でいうところの、おにぎりを包む笹の葉を連想とするような質感でいて、よりしっかりと食器の形に加工されており、汁気も漏れることなく、また盛り付けられた食品にも暖かみを添えて、おいしそうに見えた。
列車で販売されているチャーイのカップが、土に還る素焼き素材からプラスチックになって久しい。
今日からフランス・パリで開催される「COP 21(第21回締約国会議)」を前に、インドという国こそ世界にリーダーシップを示し、危機的状態にある地球環境に向き合う形での発展を実現できる国であって欲しい。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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