「科学こそ我が宗教」:修行僧の数学研究に多額の賞金

 

Posted on 29 Nov 2015 10:00 in インド科学技術 by Yoko Deshmukh



*Photo from NDTV, where the article is referenced. Click here for the video link.

「The Monk Who Sold His Ferrari(ロビン・シャーマ著)」を、まるで逆行するようなストーリーを、NDTVの記事に見つけた。

最近まで、銀行口座にわずか数千ルピーしか預金がなかったという、ヒンドゥ修行僧であり大学教授でもある47歳のマハン・マハラージ(Mahan Maharaj)さんは今月22日、その幾何学研究がムンバイのタタ基礎研究所(Tata Institute of Fundamental Research)に評価され、650万ルピーの賞金を獲得、一躍時の人となった。

賞金は、幾何学的群論、低次元トポロジーなど複雑な幾何学に対する研究と、その成果に対して授与された。
「科学こそ私の宗教」と豪語するマハラージさん、「幾何学研究の対象には、嘘やごまかしがない。そこに宗教的な霊性を見るようだ」と語る。

マハラージさんは米カリフォルニアで博士課程研究に取り組んでいた1998年、ラーマクリシュナ・ミッション(Ramakrishna Mission)所属の修行僧となった。
以来、修行にも研究にも惜しまぬ心血を注ぎ、2011年にはインド最高峰の科学賞にあるシャンティ・スワラプ・バートナガー(Shanti Swarup Bhatnagar)賞を、サフラン色の僧服を着る宗教者として初めて受賞した。
そんなマハラージさんにとって、信仰と科学との間に、矛盾はまったくないという。

将来は貧しい境遇にある子供や若者に、基礎科学を教える慈善基金を設立したいと考えているという。

数学の研究も宗教の追求も、人によっては「一体世間の何に役立っているのか」と感じることもあるかもしれない。
しかし可能な環境においては、夢中になれる対象に没頭し、突き進んでいくことが、いわゆる「食える、食えない」にとらわれない意外な形で、人の役に立つこともあるのだということを教えてくれるような話題だった。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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