*Photo from The Better India, where the article is referenced.
「自分がいいと思ったことを、真心からする」
「The Better India」が紹介していた記事は、その選択肢が無限にあることを教えてくれた。
マハーラシュトラ州プネを拠点に活動している社会起業家、プラディープ・ローカンデ(Pradeep Lokhande)さんは、インド国内10州、4万9000の村に住む、580万人もの人たちと、日々ハガキで交信し続けているという。
ローカンデさんの元へは毎日150通以上のハガキが届き、その差出人たちから親愛を込めて、「インドのポストカード・マン(Postcard Man of India)」と呼ばれている。
一体何のためにローカンデさんは、こんなことをしているのか?
電子メールやテキストメッセージが主流の現代において、昔ながらの紙とペンによる通信手段も、きちんと後世に残していきたい、という想いからだという。
ローカンデさんは、自身が代表を務める農村開発を目的とした法人組織、「Rural Relations」を通じ、州内3000校あまりの学校に図書館を設置し、読書習慣を促進する手助けもしており、こうした学校の学童たちからも日々大量のハガキを受け取っている。
P&Gやタタ・ティー(Tata Tea)といった大企業からの協賛を受け、マハーラシュトラ州以外にも、マディヤ・プラデーシュ、チャッティースガル、グジャラート、ラジャスターン、ウッタル・プラデーシュ、ウッタラーカンド、アーンドラ・プラデーシュ、カルナータカ、タミル・ナードゥなどでの農村開発に関わる多忙な身でありながら、手書きのハガキを日々、書き続けている。
そもそもの発端は、雇用や市場など農村地域の状況を把握するため、妻や父と手分けして作成した、2万枚ものハガキを、4700箇所の村々に在住する学校教師や村議会議員、郵便局員らに宛てて送ったが、返信がほとんど来なかったことにあった。
そこでローカンデさんは自らの足で村々を回り、直接人々に会って話し、面識を持った上で再度、ハガキによる連絡を試みると、徐々に返信が来るようになったのだという。
今日、ハガキはローカンデさんと全国各地の村人たちとの間での、重要かつ定期的な通信手段として確立されている。
「今ではすっかり、ハガキでの交信に魅せられています。娘の結婚式の招待状も、現代風の電子メールではなく、ハガキで出させたほどですよ」ローカンデさん。
ローカンデさんほどの高尚な動機と手段のためではないものの、わたしも近年、電子的なコミュニケーションに疲れを覚え始めているひとりであり、機会があればなるべく、字は汚いが心を込めた手書きのハガキや手紙をしたためることに、喜びを感じるようになってきている。
特に海外などの旅先から、家族や親しい友人に宛てハガキを送ることがよくある。
ただし今まで、なぜかタイから出したはがきが2度ほど、宛先に届かなかったことがあり、全世界の郵便局員さんには、あきらめずに完璧な仕事をし続けて欲しいと切に願う。
それにしても文章はキーボードをカタカタ打って一丁上がり、が日常となっている身には、紙にペンでじっくりと文面を書き綴ることは、思いのほか肩が凝り、疲れる行為だ。
ローカンデさんの偉業に、改めて頭が上がらない。