*Photo from The Better India, where the article is referenced.
インドで、古来よりイスラーム教義に厳格に則した高等教育を実施し、「ウーラマー(Ulama)」と呼ばれる最高権威の学者や聖職者を養成するために運営されてきた、「マドラサ(Madrasa)」と呼ばれるイスラーム神学校2校が、11月13日にフランス・パリでイスラーム国(Islamic State:IS)が首謀し、多数の犠牲者を出した連続無差別テロ事件を強く非難している。
今回、「全人類に対する殺人行為」であるとして、イスラーム国の犯行を正面から非難する声明を発表しているのは、ダルール・ウルーム・デオバンド(Darul Uloom Deoband:ウッタル・プラデーシュ州サハーランプル県)とダルガール・エ・アラ・ハズラート(Dargah-e-Ala-Hazrat:ウッタル・プラデーシュ州バレイリー県)という、スンニ派の名門として知られる2校のマドラサ。
2校は、イスラーム国の行為が、イスラーム法に即さない「宗教的違法行為」であり、イスラーム国はイスラーム教とは何の関係もないテロ組織であると断じる「ファトワー(資格を持つ法官のみが下すことのできる、イスラーム法に則った正式な裁断)」の発令を、インド全土のイスラーム学者や聖職者と合同で発令するよう働きかけている。
また、一般のイスラーム教徒たちに対しては署名運動への協力を呼びかけ、イスラーム教はテロを容認したり、支援したりする宗教では決してないことを、全世界に伝える活動を実施している。
2校のマドラサは、12月6日から8日にかけて行われる、スンニ派の創始者として知られるモウラナ・アフマド・ラザ・ハーン(Maulana Ahmad Raza Khan)の回忌行事「ウルス(Urs)」の最終日に、前述のファトワーを発行することを計画している。
このほか、100年の伝統を持つ同じくスンニ派の神学校、「ダルール・イフタ・フィランギ・マハル(Darul-ifta Firangi Mahal)」も、大規模な暴力行為を含むイスラーム国によるあらゆる行動を否定し、非難するため、1,000名を超える神学者から合意の署名を集めたファトワを発令した。
ちなみにデリーにある、観光地として有名な
ホース・カーズ(Hauz Khas)には、マドラサを偲ばせる遺跡がある。