おっかないイメージが一新、州首相としてコロナ禍を仕切るシヴ・セーナー党首

 

Posted on 15 Apr 2020 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

ドンみたいだった故一代目とは対照的で、テレビで淡々とマラーティー語で語りかける二代目は知的な印象です。ちなみに若き三代目は俳優ばりの、なかなかのイケメンとしても知られています。



コロナ禍による全土一斉モック外出禁止令「Janata Curfew」以来、全国民に向けてのメッセージ発信を目的としたテレビ演説のたびに、発表だけで実質的な中身がなく、自己陶酔しているようにしか見えないモーディー首相の映像に辟易している。
大事なことは各州首相に丸投げ、ということなんだろう。

そんな、われらがマハーラーシュトラ州の州首相は、昨年の選挙でラシュトラワディ・コングレス(Rashtrawadi Congress)、インディアン・ナショナル・コングレス(Indian National Congress)との連立与党となったシヴ・セーナー(Shiv Sena)の党首、ウッディヤウ・タッカレー(Uddhav Thackeray)氏だ。

シヴ・セーナーと言えば極右政党というイメージが強く、泣く子も黙る厳めしい(というか阪神タイガースみたいな)トラをシンボルとし※、インド(マハーラーシュトラ)の伝統を重んじるあまり、バレンタインデーなど舶来の文化を粉砕せんとギフトショップを焼き討ちしていた、おっかない集団というイメージがあった。
 


※今、公式ウェブサイトを見たらトラはどこにも見当たらず、シンボルは弓矢になっていた。


しかし、コロナ禍入りしたマハーラーシュトラ州の対策指揮と、州民たちに向けて的確なメッセージを冷静に発信するタッカレー氏の姿は、当初マフィアのドンみたいな人を勝手に想像していた先入観を壊す、知的で落ち着いた、できるリーダーという印象に塗り替えた。
そんな州首相が昨晩、マラーティー語ニュースチャンネルに生放送で出演し、特に低所得者や農村居住者など、社会的に立場の弱い人々に向けた、強いメッセージを発信していた。

You are in my State, you are safe: CM

「全土封鎖や外出禁止(Lockdown)は監禁(Lockup)ではない。どうか根も葉もない噂に惑わされないように」というメッセージを中心に発信したタッカレー氏。

これは、ムンバイーのバンドラ(Bandra)駅前に14日、「鉄道が臨時運行する」という噂を聞きつけ、大勢の季節労働者が故郷に帰るための列車を逃すまいと密集してしまった、胸が痛む事件を指している。

「マハーラーシュトラ州は安全な土地だ。どうか何も心配しないでください。あなたたちを守ります。そして封鎖が解除された時には、州だけでなく国を挙げて、あなた方が帰宅できるよう支援します。だから今はインド人のひとりとして、この困難な時を乗り越えましょう」と呼び掛けた。

タッカレー氏によれば、州が保護対象としている他州からの労働者は55万~60万人に及ぶという。
「誰もがストレスを溜め込んでいることは分かっている。しかしどうかパニックにならないで欲しい。全土封鎖と国民全員への外出禁止を求め続けることはあり得ない。だから今は、噂を流さず、踊らされることなく、ともに戦って乗り越えましょう。」

なおタッカレー氏は、回復後の患者の血漿を用いた治療法(convalescent plasma therapy)について、中央政府からの許可を待っている段階であると話した。

さらに州内では、退職した看護師などの医療スタッフに、一時的な復職を呼び掛けており、現在までに2万1,000件以上の応募が集まったと話している。

なお、三代目タッカレー氏として頭角を現す、ウッディヤウ氏の子息、アーディティヤ・タッカレー(Aaditya Thackeray)氏のイケメンぶりに興味のある方のためにも、画像を貼り付けておく。
 


イケメンぶりをもっとよく見たかったら「Aaditya Thackeray」で検索。
ツイッターもあるよ(@AUThackeray)


なお、一代目「ドン」、故バール・タッカレー(Bal Thackeray)氏については、われらがナワーズッディーン・シッディーキー(Nawazuddin Siddiqui)さん主演の映画が2年前に公開されている。



なお、現状に何ら役立つ情報をご提供できていない「ASKSiddhi(アスクスィッディ)」なので、せめて「在ムンバイ日本国総領事館」より日々発信されている州内の状況や州政府による措置に関する最新情報を、今後はこちらにも転載させていただきたい。

=== 以下、同掲題メールの転載 ===
※4月14日付けのメール、件名「インドにおける新型コロナウイルスに関する注意喚起(ロックダウン措置の新たなガイドラインほか):在インド日本国大使館」

●インド政府によると,4月15日現在のインド国内感染者の合計は11,439例(死亡377例)となっています。
●15日,インド政府は,ロックダウン措置の新たなガイドラインを発表しました。引き続き,国内・国際航空路線・鉄道による旅客の移動,公共バス・メトロ・タクシー・リキシャ,州境を越える個人の移動,映画館・ショッピングモール等の原則的な禁止・封鎖等が5月3日まで継続され,これら措置が厳格に適用されます。同時に,4月20日以降,社会的距離の確保等,一定の条件の下で許可される活動も発表されています。
●各州政府は感染ホットスポット周辺を封じ込めゾーン(containment zone)及びバッファーゾーン(buffer zone)に指定し,完全封鎖措置(家・敷地から外出することを禁止)をとっています。今後もホットスポットは増える可能性があるところ,邦人の皆様におかれては,州政府発表や報道等でご確認の上,行動にご注意下さい。

在留邦人及び短期渡航者の皆様へ

本15日,在インド大使館が在留邦人あてに以下の領事メールを発出したので,お知らせします。

1 インド政府によると,4月15日現在のインド国内感染者の合計は11,439例(死亡377例)となっています。州ごとの内訳等は以下をご覧ください。
https://www.mohfw.gov.in/node/4904/

2 15日,インド政府は,ロックダウン措置の新たなガイドラインを発表しました。引き続き,国内・国際航空路線・鉄道による旅客の移動,公共バス・メトロ・タクシー・リキシャ,医療等の場合を除く州境を越える個人の移動,映画館・ショッピングモール等の原則的な禁止・封鎖等が5月3日まで継続され,これら措置が厳格に適用されます。同時に,4月20日以降,社会的距離の確保等,一定の条件の下で許可される活動も発表されています。新たなガイドラインの下での制限措置及び4月20日以降許可される活動については,下記インド内務省の発表をご参照ください。
http://164.100.117.97/WriteReadData/userfiles/15.04.2020%20Revised%20Consolidated%20Guidelines.pdf

3 各州政府は感染ホットスポット周辺を封じ込めゾーン(containment zone)及びバッファーゾーン(buffer zone)に指定し,完全封鎖措置(家・敷地から外出することを禁止)をとっています。今後もホットスポットは増える可能性があるところ,邦人の皆様におかれては,州政府発表や報道等でご確認の上,行動にご注意下さい。
封鎖措置の対象となる地域においては,市民は外出せず,生活必需品についても店頭ではなくデリバリーで調達することが求められています。

4 在留邦人,インドご滞在中の皆様におかれては,以下の点にご注意の上,最新情報の入手に努め,困ったことがあれば本メール末尾の問い合わせ先にEメールでご連絡ください。
(1)中央政府及び地方政府が感染予防のための措置を強化する方向にあり,制度が突然変更される可能性もありますので,十分注意して行動してください。
(2)在インド日本国大使館では在留邦人の皆様からの保健相談を受け付けるための窓口を設置しています。
jpemb-hokensoudan@nd.mofa.go.jp
ご利用に際しての詳細は,以前の領事メールをご覧ください。
(3)インド政府は,全国におけるロックダウン措置を実施しています。警察による取締りが強化されていますので,十分ご注意ください。なお,この措置を受け,領事業務を含め大使館の業務が今後限定的になる可能性があります。
(4)ご自身や周囲の人の感染予防のため以下の点にご注意下さい。
・アルコール系手指消毒薬または石鹸と流水による手洗いを頻繁に行う。目,鼻,口などに触れる前に手洗いをする。
・咳やくしゃみがあるときはマスクを着用して鼻と口を覆う。マスクがない場合は,咳やくしゃみのときに口と鼻をティッシュなどで覆い,手洗いを行う。

(各種情報が入手できるサイト)
インド政府広報局ホームページ
https://pib.gov.in/indexd.aspx
インド保健・家庭福祉省公式ツイッター
https://twitter.com/MoHFW_INDIA
インド入国管理局ホームページ
https://boi.gov.in/
在日インド大使館ホームページ
https://www.indembassy-tokyo.gov.in/jp/index_jp.html
外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/
厚生労働省ホームページ:新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
首相官邸ホームページ:新型コロナウイルス感染症に備えて
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

このメールは,在留届にて届けられたメールアドレス及び旅レジに登録されたメールアドレスに自動的に配信されております。

【問い合わせ先】
在ムンバイ日本国総領事館・領事班
電話(91-22)2351-7101
メール ryoji@by.mofa.go.jp

=== 転載終わり ===

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※IMFチーフエコノミストのゴピーナート氏による、今後の世界経済成長率に対する新見解(The Great Lockdown)が発表された影響か。参照: The Great Lockdown_ Worst Economic Downturn Since the Great Depression – IMF Blog






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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