インド建国の父、マハトマ・ガンディ生誕日である10月2日は、毎年国民の祝日として休日となっているが、ゴア州政府がこの日を祝日から「タイプミスによって」誤って外してしまったことがきっかけで、「そもそもガンディ生誕日をなぜ休日にするのか」という論争をインド全土に巻き起こしている。
ビジネス・スタンダード紙ほかが報じた。
ゴア州政府がガンディ生誕日を祝日から外したことは、一部の国会議員が怒りを込めて「反国家的行為」と厳しく糾弾している。
ところが一般国民の中には、「インド建国のために力を尽くしたマハトマ・ガンディに本当に敬意を表するのであれば、その日は休日ではなく、国民一人一人が与えられた務めを果たす日であるべきだ」という声も少なからず上がっている。
「祝日にしたからといって、その日に一瞬でも、偉大なる指導者であるガンディに心から想いを馳せ、また感謝の気持ちを抱く人がどれだけいるだろうか。たいていの国民は、単なる休日のひとつとして、馬鹿騒ぎして終わりだ」と指摘するブロガーもいる。
実際、10月2日を休業にせず、営業日としている企業もある。
プネのIT会社「審美ラボ(ShimBi Labs)」CEO、シッダールタ・デシュムク(Siddharth Deshmukh)氏は、数年前のガンディ生誕日に寄せた自身のブログの中で、社員に向けたメッセージとして次のように発信している。
「このガンディ生誕日、インド中が休日を楽しむ中、偉大なる指導者がこの世に生を受けたことの意味を理解し、通常通り精勤している諸君を誇りに思う。ガンディのメッセージの中にこのようなものがある:『我らの敷地を訪れる人々の中でも、客人は最も大切にしなければならない。客人は我らがいなくても生きていけるが、我らは客人がなくては生きていけないのだから(THE CUSTOMER IS THE MOST IMPORTANT VISITOR TO OUR ESTABLISHMENT. HE IS NOT DEPENDENT ON US; WE DEPEND ON HIM.)』、そして『我らが客人をもてなしているのではない。客人が我らにもてなさせてくださっているのだ(WE DO NOT DO HIM A FAVOUR WHEN WE SERVE HIM; HE DOES US A FAVOUR BY MAKING IT POSSIBLE FOR US)』。この言葉を心に刻んで、ガンディ生誕日こそ業務に誠実に邁進しよう」
ゴア州の措置は過失だったようだが、そのことがインド人一人一人に考えるきっかけを与えたことは間違いない。