今年12年ぶりに開花するニーラクリンジの直面する危機
Posted on 01 Oct 2018 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
写真はもうひとつの珍しい花、ダイリンチュウです。インドではブラーフマ・カマランと呼ばれています。
映画化された小説「Crazy Rich Asians」の中で、10数年に一度しか開花しないとされる珍しい花、「タン・フア(tan hua:ダイリンチュウ)」が、物語の核心と緩く絡みながら登場する。
ケーララ州にもダイリンチュウと同様、12年に一度しか開花しないニーラクリンジ(Neelakurinji、またはクリンジ [Kurinji]:学名「Strobilanthes kunthianus」)という花があり、今年はその開花の年に当たるようだ。
12年に一度咲く クリンジの花 |トラベルサライ
「National Geograhic」電子版で、開花すると付近一帯が、様々な色相の紫色が織りなす壮麗なじゅうたんのようになるニーラクリンジについての紹介と、その危機について記述していた。
Indian Flower That Blooms Every 12 Years Under Attack - National Geographic
「Crazy Rich Asians」作中のダイリンチュウが、シンガポールのど真ん中に位置する、ミステリアスな森の中の大豪邸に招かれなければ見ることができなかったのに対し、ニーラクリンジは、ケーララ州の西ガーツ山脈ニルギリ山系に属し、標高1,500~2,600メートルの高原に位置するエラヴィクラム(Eravikulam)国立公園で出会うことができる。
しかし近年、この繊細なニーラクリンジはその生育範囲を急速に狭め、危機に瀕している。
周辺で栽培されているユーカリやアカシアをはじめとする農業、そして観光による汚染が原因とされている。
ケーララ州パライ(Palai)のセント・トーマス大学(St. Thomas College)植物学部長を務めるジョーミー・オーガスティン(Jomy Augustine)教授が最近出した著書の中で、西ガーツ山脈ではこれまでに64種のニーラクリンジが確認されたとの記述がある。
一方、今年1月に発表された調査によると、過去40年間の衛星画像から、木材プランテーションの面積が12倍に拡大している一方で、ニーラクリンジの生育に必要な草地の面積が66%も減少していることが分かった。
そこでニーラクリンジの壮大な花のじゅうたんを永遠に守るため、ケーララ州政府が2日間のワークショップを開催するなど、意識を高める努力をしている。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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