日本では初夏の味、インドではモンスーンの味: 新鮮なトウモロコシのおいしい食べ方
Posted on 25 Aug 2018 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
母直伝のこの方法は、失敗がなく本当においしくて、インスタントに幸せになれるのでおすすめです。
昨日、自宅の近所を歩いていたら、リヤカー屋台で焼きトウモロコシ(ブッタ:भुट्टा)を売る人を見かけた。
パチパチ言う炭火の上に乗ったトウモロコシがパタパタと扇がれ、香ばしい匂いを周囲に広げる。
そういえば、このブッタ屋台は、モンスーン季しか見かけない。
それを裏付ける記事が、次の「The Quint」に掲載されていた。
Fresh Off the Cob: Why is Bhutta India’s Favourite Monsoon Snack? - The Quint
記事の中で、トウモロコシの起源とインドへの伝播(ヨーロッパ人)を紹介していたが、ふと以前、ある本に「トウモロコシの種子の起源は南米アンデス山脈だが、原種はバオバブの実に似た硬くて粉っぽいもので、食用に適していなかった。それを数千年という途方もない時間をかけて現地の人々が徐々に品種改良し、現在のものに近い味と食感、栄養価のものにした」と書いてあったことを思い出した。
「日本大百科全書(ニッポニカ)」Japan Knowledge版によるトウモロコシの起源は、次の通りだ。
「紀元後1000年ころまで現存していた野生祖先種がボリビアからメキシコまで広く分布していたが、少なくともメキシコとボリビアで栽培型が成立し、さらにメキシコにおいてこの栽培型とトリプサァクム属Tripsacumのある種との交雑によって急激な進化が生じ、現在のトウモロコシが成立したとする説(中略)メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスのトウモロコシ畑の随伴雑草として生えているテオシントZ. mexicana Schrad.が野生祖先種であるという説(中略)考古学的資料によれば、野生祖先種は少なくとも紀元前5000年ころにはメキシコに分布しており、栽培型が成立したのは前3000年ころである。そして前2000年ころには現在みられるようなりっぱな穂形が成立した。」
インドでこうした屋台から焼きブッタを買うと、アツアツのところにレモン汁をじゅっと搾り、塩(ブラックソルト)とチリをブレンドしたシーズニングをまんべんなくかけてくれる。
わたしにとっては、醤油よりもこの食べ方が、ソウルフードになりつつある。
なお、前回福岡に帰省していた時、母がとっておきのブッタ調理法を教えてくれた。
それは、鞘(皮)付きのまま買ってきて、それを皮ごとラップで包み、電子レンジでチンするというもの。
プネーの自宅で使っている電子レンジの出力は900Wなので、母によれば「2分50秒(10秒でも長くするなよ!by母)」ということで、やってみたら甘味と旨味がぎゅっと出ておいしい。
わが家ではこの電子レンジ茹でしたブッタに、チャートマサラを振りかけて食べている。
上述の記事には、他にもインドならではのブッタの食べ方を紹介していて、こちらも興味深かった。
1. ブッタ・チッラ(Bhutta Chilla)
トウモロコシをすりつぶし、ベサン(チャナ豆の粉)、スパイス、グリーンチリ、みじん切りにしたコリアンダー(パクチー)を加え、そこに水を足してバッター液を作る。熱したフライパンに流し、少々の油を撒いてから、端がカリカリになるまで両面を焼く。
2. ブッタ・ハルワ(Bhutta Halwa)
ブッタのスイーツ。「1.」と同様、すりつぶしたブッタをよく混ぜ合わせ、たっぷりのギィーを熱した中華鍋で、ギィーが浮いてくるまで炒める。ぬるま湯と砂糖、サフラン、レーズンを加えて蓋をして蒸す。
3. ブッタのマサラ和え(Masala Grated Bhutta)
材料
生のトウモロコシ: 4~5本分くらい
マスタードシード: 小さじ1
クミンシード: 小さじ1.5
グリーンチリ: 3本(みじん切りにしておく)
レッドチリパウダー: 小さじ1/2
ターメリックパウダーとヒンガ: 少々
塩
油: 大さじ1.5
作り方:
1. トウモロコシの粒をすりつぶし、グリーンチリのみじん切りと分量半分のクミンシードを加え、ミキサーに2分間かける。
2. 中華鍋に油を熱し、マスタードシード、ヒンガ、残りのクミンシードを投入する。
3. 「1.」と塩を加える。
4. よく混ぜ合わせたら火から下ろし、5分ほど休ませる。
5. 再び火にかけ、レッドチリパウダーとターメリックパウダーを加える。
6. 混ぜ合わせたら蓋をし、数分間蒸し焼きにする(定期的に様子を見る)。
7. 食べる前にコリアンダーを散らす。
4. ブッタ・パコラ(天ぷら:Bhutta Pakoras)
材料
生のトウモロコシ粒: 3~4本分くらい(すりつぶし、よく混ぜておく)
グリーンチリ: 3本
クミンシード: 小さじ1/2
ターメリックパウダー: 小さじ1/4
レッドチリパウダー: 小さじ1/2
ベサン: 大さじ1
塩
揚げ油
作り方:
1. すべての材料をよく混ぜる。
2. 油を熱し、「1.」のバッターに大さじ1程度の熱い油加えて混ぜる。
3. 「2.」を油に落とし、黄金色になるまで揚げる。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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