三井昌志さんの帰国報告会2018年@福岡
Posted on 25 Jun 2018 21:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh
毎年参加させてもらえて、なんと贅沢なのだろう。
わたしは福岡に、まだ滞在している。
インドや周辺の南アジア諸国の、大都市から遠く離れた町や村で、誰にも顧みられることなく働く市井の男たちの中に、「バーフバリ」も顔負けの凄みのあるかっこよさを見出し、撮影してまとめた「渋イケメン」シリーズの写真集で知られる写真家の三井昌志さんが、福岡で帰国報告会を開催されたので、参加してきた。
三井さんの帰国報告会、福岡での開催は今年で3年目。
わたしは幸運にも、これまで毎年、出席する機会に恵まれた。
三井昌志さんのホームページ - たびそら
久しぶりに再会した三井さんのお姿は、プネーを訪問された1月下旬ごろと比較すると体力も回復し、心身よりエネルギーがみなぎっている印象を受けた。
報告会は、まずミャンマー編で幕を開ける。
特に激しく迫害され貧しい暮らしを強いられ、時には住むところも奪われて難民とならざるを得なくなっているロヒンギャたちの住む町村で撮影した作品を見せていただきながら、山々に阻まれた厳しい土地で、肉体を頼りに生きていくしかない厳しい現実についてお話があった。
ロヒンギャの大地を撮る - たびそら(三井さんのブログ)
差別や偏見のない社会を目指すにあたっては、お互いの顔を見て、知ることが最低限のステップだ。
三井さんはこのように話した。
同じ国民であるはずのミャンマー人たちの中でも多数派を占める仏教徒の中には、ロヒンギャたちの住むところに行ったこともなければ、自称高僧によるデマや憎悪拡散を、仏教の宗教的慣習(偉いお坊さんの言うことは正しいという盲信)から鵜呑みにしている者も多いという。
無知が最大の脅威を生み出しているというのは、日本でもインドでも見られることだ。
数年前に地元福岡で開催された何かの集まり(インド関係ではない)に出席した折に、最近インドとミャンマーへの出張が増えたと話す人がいて、その方に「異教徒であり自己主張の激しく気難しいインド人は嫌いだ。ミャンマー人の方が、日本人と同じく皆仏教徒だし、性格が穏やかだからいい」などと言われ、その方の無知に心の中でひそかに合掌したことがあったことを、ふと思い出していた。
ロヒンギャたちの淡々とした、しかし悲しい旋律が流れるような暮らしぶりのほかにも、マンダレーなど日本人もよく足を運ぶ都市で修行に励む、愛らしい小さな尼僧さんたちの写真など、心温まるものも多くあった。
代わってインド編は、バイクにまたがった三井さんがiPhoneを片手に撮影したというロードムービーで幕を開けた。
プネーにお見えになった今年は、見慣れた光景があるかもしれないと目を皿のようにして見つめたが、残念ながらよく分からなかった。
撮影時の興味深い、楽しいエピソードを交えながらも、圧倒的な迫力の写真たちには引き込まれるばかりだ。
豊富な渋イケメン写真はもちろん、最近急にサリー熱が再燃しているわたしは、村の女性たちの鮮やかなサリーの模様や素材に釘付けだった。
いずれも旅人としての俯瞰的な視点と、農村部に生涯暮らす人とじっくり交わった経験を併せ持つ、三井さんにしか表現できない独特の写真だ。
わたしは三井さんが出版した「渋イケメン」2部作のうち、日本に置いておく2冊と、インドに持ち帰る2冊の計、4冊を購入し、すでにサインをいただいていた1冊を除いた3冊にサインをいただいた。
およそ2時間半もの長時間をまったく感じさせない、内容の濃い帰国報告会を堪能したが、三井さんの写真はもちろん、そのストーリーは、心動かされ、揺さぶられるものだった。
そして、三井さんしか撮ることができない人々の日常や、一瞬の美しい表情はすばらしく、日本はもちろん、インドの都市部、また全世界に、感動はもちろん、問題意識も分かち合いたいなと心から思った。
そのきっかけとして、三井さんにはぜひ、またプネーに来ていただき、ワークショップを開催してもらいたいと切に願っている。
三井さんはこれより、6月30日に名古屋、7月1日に大阪で、それぞれ帰国報告会を開催される。
詳細は、三井さんホームページより。
三井昌志さんのホームページ - たびそら

プネーにお見えの時にみんなで撮った写真を使ってくださって個人的にワーッと感動した
(三井さんの向かって右隣にいたハズのわたしは切れてるけど、笑)。
※場所はキャンプのイラーニーレストラン、Blue Nile。
報告会の後、写真教室の間は近くのカフェで仕事をして時間をつぶし、
夜の懇親会にはまた会場に戻って参加した。
他の参加者の方々も交え、三井さんと少しゆっくりと時間を過ごせて、
うれしかった。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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