サニタリーパッド普及拡大を前に、環境に配慮した専用焼却炉が登場

 

Posted on 13 Jun 2018 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

このような視点は恥ずかしながらなかったので、驚きつつも頼もしく、世界中に普及したらいいのにな、と思いました。



少しずつ環境配慮型の生活に移行していきたいとは思っているものの、やはり利便性の高さから使い捨てのサニタリーパッドを愛用し続けているわたしの言い訳は、「洗浄するための水も貴重な資源だから」というものだ。
慢性的に水不足となりがちなインドに住んでいると、水の無駄遣いには敏感になってしまう。

そしてインドでは、特に農村部や都市のスラムで暮らす女性たちを中心として、これまで無知から由来するタブー視にさらされ、退けられてきた月経という現象についての正しい知識と、安価で清潔なサニタリーパッドの普及がようやく進み始めているという背景もある。

参考:アクシャイ・クマール主演「Pad Man」まで秒読み、サニタリーナプキンは免税化か - ASKSiddhi

そんな心の声に応えてくれるような画期的な仕組みを、ハイダラーバードやナーグプルを拠点とする科学研究機関が発明した。
「The Times of India」電子版が伝えた。

An eco-friendly route to dispose sanitary napkins - The Times of India

その発明とは、民間企業の協力も得ながら、サニタリーパッドの普及による環境汚染を防ぐことを目的として開発されたハイテク装置だ。
「GreenDispo」と呼ばれるこの装置は、有害ガスの排出を最小限に抑えてサニタリーパッドを完全に焼却できるよう設計されている。

記事によればインド国内では毎月4億2,300万枚のナプキンが廃棄されているが、今後数年間でその量はさらに膨大なものとなると懸念されている。

使用済みナプキンは、取り扱いを適切に行わなければ、例えば排水溝に詰まるなどの被害や、思わぬ病原体が増殖し、重大な健康上および環境上の危険を引き起こすともあるとして、大きな課題を提起している。

ハイダラーバードに拠点を置く粉末冶金国際先端研究センター(International Advanced Research Centre for Powder Metallurgy:ARCI)がセラミックス加工および成形の分野で、ナーグプルに拠点を置く科学産業研究評議会(Council of Scientific and Industrial Research)傘下の国立環境工学研究所(National Environmental Engineering Research Institute)がガス排出管理分野で、スィカンダラーバード(ハイダラーバードのツイン都市)に拠点を置くソウバル・エアロターミクス(Sowbal Aerothermics)社がエネルギー効率の高い設計と製造の分野で、それぞれ貢献している。

特別設計された電気焼却炉は内部の加熱温度が摂氏800度を超え、使用済みパッドを完全に燃焼させることができ、さらに焼却炉からの有害ガス排出を極力抑えるために摂氏1050度で二次加熱する。
また専用のセラミックホルダーで対象に熱を集中させると同時に、点火時間の短縮、ピーク温度の迅速な加熱、ヒーター素子の寿命延長を実現、結果として消費電力を低減している。

出力定格は800~1,000ワット、サイズはおよそ60~90センチ各と小型のため、農村部はもちろん、大学や学校、オフィス、その他の公共の場所を含む、あらゆる場所に設置できる。
実際の使用条件下での実地試験を行い、排気ガスおよび性能の信頼性について確認したら、「Pad Burn」という商品名で発売される予定だ。





    



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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