ジャリヤーンワーラー・バーグ事件とイギリス人
Posted on 18 May 2018 21:00 in インドの政治 by Yoko Deshmukh
写真は4月中旬、成田・福岡便の機内から眺めた中央アルプス付近の山々です。
大切なインドの親族のひとりが亡くなってから、今日でちょうど2カ月が経った。
あまりにも予測不可能な急死というものを身近に体験した初めての出来事だったので、日常生活を何事もなく送っているように見える現在でも、ふとした瞬間に、また誰かが次の瞬間にはいなくなってしまうのではないか、という暗い恐怖がずっとつきまとっている。
この2カ月間で、これからのことや、最も大きな影響の及んでいる残された妻や子供たちに対する自らの役割についても、色々考え込んできた。
日々なすべきことを地道に消化するのが精一杯で、答えはまだ出てこない。
先月から福岡に滞在しており、仕事に没頭している時には何も考えていないこともあるものの、SNS上で交流したり、人に会ったり、テレビを見たりすることすら辛くなることがある。
今日もただ、心の中で手を合わせる。
喉元に何かがつかえているような、塊のようなものが込み上げてくるような感覚がずっとある。
本日はシッダールタが「The Better India」に掲載されていた、次の記事を教えてくれた。
2007年までノーベル平和賞受賞者でもあるコフィー・アナン国連事務総長の下で事務次長を務め、マンモハン・スィン政権では人材開発大臣に就任、現在もケーララ州ティルヴァナンタプラム(Thiruvananthapuram)選出の下院(Lok Sabha)議員として、そして外交官としても作家としても活躍するロンドン生まれのシャーシー・タルール(Shashi Tharoor)氏が先日、ロンドンで行った講演が、イギリス人の心を動かしたという話だ。
How Shashi Tharoor’s Speech Got a British Man to Apologise for the British Raj! - The Better India
この話は、数日前に「BuzzFeed」日本語版(原文は英語)に掲載されていた記事と、少しだけ関連する話題かもしれない。
映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』は10億人の人の歴史を踏みにじる - BuzzFeed Japanese
歴史家でもあるシャーシー・タルール氏は、英国統治時代のインドにもたらされた甚大な損害について指摘する声を緩めようとしない。
最近開催されたオークランド作家祭(Auckland Writers Festival)で7分間の「本当の話」を語るように求められたタルール氏は、そのテーマにインドの歴史上で最もおぞましい事件のひとつ、ジャリヤーンワーラー・バーグの大虐殺を選んだ。
講演後、ある英国人男性がタルール氏のもとへ訪れ、1枚の紙片を手渡したという。
そこには、「私は英国生まれです。お詫びしたい。」と走り書きされていた。
ジャリヤーンワーラー・バーグの大虐殺については、知らなかったと話すイギリス人も多くいることを聞いた。
「歴史は強者により作られる」の一例かもしれない。
タルール氏は2015年にもオックスフォード・ユニオン(Oxford Union)で、インドに支払われるべき賠償について詳細に述べて話題となり、また同様の事実を著書「An Era of Darkness(闇の時代)」に記すなど、英領時代の搾取がインドの経済、政治、国家そのものへ与えた影響について糾弾し続けている。
タルール氏のスピーチ動画は以下から閲覧できる。
ひどい出来事も心の痛みも、いつかは忘れるのだろうか。
About the author
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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