マハーラーシュトラ州内で、ステロイドを含む一部「美白」商品の店頭販売禁止に

 

Posted on 14 Apr 2018 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

「美しさ」について、インドの若者ほど翻弄されている人たちはいないのかもしれません。



「美白」は多くのインド女性にとって切実な願望のように見える。
美白クリームのテレビコマーシャルでも、色白だったから厳しい選考を勝ち抜いて就職に合格したとか、スポーツ試合に挑む女性が明るい肌で一層自信をつけ、国際試合で勝利を手にしたとか、肌の色はまったく関係ない要素を巧みに結び付け、いたずらに消費者を煽っているようにも見える。

本日、「マハーラーシュトラ州内での美白クリーム購入には処方箋が必要」との記事をDNA電子版で見かけたので不思議に思い、内容を確認すると、店頭販売商品にはステロイドが配合されているものが結構あるようだ。

No fairness creams without prescription - DNA

ステロイドは長期使用を続けると様々な副作用を引き起こすことで知られている。

インド政府は医薬品技術諮問委員会(Drugs Technical Advisory Board)との協議の上で、1945年制定の医薬品および化粧品規則(Drugs and Cosmetics Rule, 1945)に記載された、医師の処方が必要なH分類(Schedule H)に、市販の美白クリームに配合されているステロイドを新たに追加した。

具体的には、新たに加わったのはベクロメサゾン(Beclomethasone)、ベタメタゾン(Betamethasone)、デソナイド(Desonide)、デスオキシメタゾン(Desoximethasone)などをはじめとする14種類。

インド皮膚科医協会(Dermatologist Association)では、これら14種は副作用の恐れがある強力なステロイドであり、医師の処方が推奨されるにも関わらず、誰もが店頭で購入できる化粧品に使われている。
さらにこうしたステロイドが含まれるクリームを、インドで人気の芸能人を起用したテレビコマーシャル等を通じて積極的に売り込むことは、一般市民による乱用を招きかねないことへの問題も提起している。

マハーラーシュトラ州では2年以上前から、強力なステロイドを配合したクリームの店頭販売を禁止する措置を講じているが、今回新たに14種のステロイドが対象に加わったため、これから気軽に購入できる商品はさらに絞り込まれていくのだろう。

ステロイドを塗布することが皮膚の脱色作用を及ぼすのか、わたしには皆目わからないが、副作用による一時的な皮剥けなどの症状が「美白」と勘違いされている可能性もある。
ステロイドの皮膚脱色効果についてインターネットを徘徊していたら、次のような興味深い記事も見つかった。

【アフリカの美白ブーム】白くなりたがる人たち。 - ファンファン福岡

わたしはむしろ、執筆家で社会活動家でもあるナンディータ・ダース(Nandita Das)さんのような考え方に憧れる。

I am dark skinned, proud & healthy. Dark is beautiful - Nandita Das





      



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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