旧日本軍の空爆にも耐えたコルカタのハウラー橋、今年75歳
Posted on 14 Feb 2018 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
旧日本軍によるカルカッタ空爆があったことなど知らなかったのですが、よく考えたらあり得ないはずはないですね。
※ちなみにこの橋は、ポルトの歩いて渡れて足元が見える怖い鉄橋「Ponte d'Arrábida」。
数日前の「The Better India」で、1943年の竣工から今年で75周年を迎えるコルカタのハウラー橋(Howrah Bridge)の歴史について紹介していたのだが、その中で、旧日本軍が太平洋戦争中の1942年から1944年にかけ、コルカタ(当時はイギリス領インド帝国カルカッタ)を空爆していたという事実を初めて知った。
Kolkata’s Howrah Bridge Turns 75! Did You Know It Survived a Japanese Air Attack?
最近では2016年の映画「Lion」の舞台にも使用されていたハウラー橋は1943年に竣工、当時の先端技術の粋を尽くした構造だった。
現在に続く大財閥企業、タタ製造のものが大部分を占める鉄鋼およそ2万6,500トンを使用し、容量800トンの油圧ジャッキ16台が橋梁を支え、デッキ部は39本のハンガーが下弦のパネルポイントから吊り下げる複雑かつ堅牢な吊り橋構造となっている。
ハウラー橋の建築には世界中の企業が入札に応募、当初は最も価格の安かったドイツの会社が受注予定だったが、世界を不穏な空気が包み込み始めた1935年になりこのドイツ企業との契約を解除、最終的にはインド企業「Braithwaite Burn and Jessop Construction Company Limited」が入札した。
1942年から1944年にかけ、第二次世界大戦でビルマ(現ミャンマー)の攻略を目指す旧日本軍がカルカッタも空爆目標とした。
1942年12月から1943年1月にかけて、カルカッタには合計131発の爆弾が投下され、うち70発が1月23日に集中、1日で500人以上が犠牲となる激しい空爆となった。
イギリス軍もハウラー橋の鋼製ケーブルにバルーンを仕掛け、低空飛行する日本軍の爆撃機をトラップし、墜落させる作戦で、これに対抗した。
戦争が終わり、幸いにも大きな損傷を受けることがなかったハウラー橋。
しかし現代、新たな危機に直面しているという。
人々が投げ捨てる廃棄物や、川の水質汚染を原因とする腐食が、年々悪化しているのだ。
特に、パーン(噛みタバコ)を噛んだ後の唾液に含まれる石灰やパラフィンは、鉄鋼を腐食させる性質が強いとされている。
敵国の爆撃を生き延びたハウラー橋なのに、自国の市民により危機に瀕しているというのは皮肉な話だ。
なお、この旧日本軍による空襲について描いたインド映画として、このような作品があることも知った。
第2次大戦中のカルカッタを舞台にした探偵ミステリー~映画『Detective Byomkesh Bakshy ! 』
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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