交通事故死者数年間15万人のインドで、全国統一事故通報ダイアル「1033」が状況を改善するか

 

Posted on 30 Jan 2018 21:00 in トラベル・インド by Yoko Deshmukh

途方もない数の尊い命が、交通事故により失われています。



先日、6回目のインド一周バイク旅の途上でプネーに立ち寄られ、日本人としてはかなり希少な「インドの道路(国道)のプロ」でもある写真家の三井昌志さんが教えてくださった通り、インドでの交通事故による死亡者数は年間15万人にのぼり、毎日およそ410人、毎時17人もが道路上で尊い命を落としている。

Road accidents in India, 2016: 17 deaths on roads every hour, Chennai and Delhi most dangerous - Indian Express

410 people died on Indian roads every day last year - The Times of India

特に、大都市や町村を繋ぐ重要な動脈でありながら、交通安全ルールの施行が徹底していない全国の国道(National Highways:NH)で交通事故が頻発、近隣の病院から救急車が急行できない僻地であれば、文字通り命取りとなる。

この問題に取り組むための方策の一環として、インド政府はインド国道庁(National Highways Authority of India:NHAI)では、事故発生時の通報はもちろん、その対応等について苦情を申し立てることもできる全国統一フリーダイアル番号「1033」を導入すると発表している。

Government to launch national toll-free number to report road accidents on national highways - The Times of India

NHAIによれば、フリーダイアルは交通事故の負傷者をいち早く救助し、最寄りの病院に搬送することを第一義の目的とし、救急病院や救急車の配備展開を各州政府と協力しながら進めていくとしている。
同時に、国道利用者から上がる様々な苦情や意見を吸い上げる役割も担うワンストップソリューションを目指す。

仕組みとしては、通報者の位置情報を国道網全体を網羅する地理情報システム(GIS)によりマッピングを行い、発信者の位置を自動的に特定、その地域の言語を話すオペレーターに繋ぐ。

NHAIでは、このフリーダイアルの導入により、交通事故発生時の医療支援をスムーズに行えるようにすることで、死亡者数を半減するとのアンビシャスな目標を掲げている。

個人的には、インドではソフト面の充実は割と早いが、ハード面(この場合は救急病院や救急車がどこでも急行できる体制作り)に時間がかかるので、フリーダイアルだけでどの程度の効果が表れるのかは疑問だ。
それよりも、「ルールを守るぐらいなら死んだ方がマシ」とでも言いたげな、無茶な運転をする人たちに、アメでもムチでも手段を選ばずルールの順守を徹底させるという、もうひとつのソフト面のアプローチを工夫した方がいいに決まっている。





      



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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