ターメリックに抗がん作用か:ハイデラーバード大学の研究チーム

 

Posted on 20 Jan 2018 21:00 in インド科学技術 by Yoko Deshmukh

そのまま食べてもすぐに排出されるので、効果は出にくいということかな。



プネーに暮らして15年にもなると、肉食や飲酒が日常生活からやや外れてくる。
たまに飲み会などに行って飲みすぎると、決まって二日酔いなどの症状に苦しむことになってしまい、仕事にも影響してしまうことがあるので、飲む量をかなりセーブするようになった。

いまは、よほど楽しい時間を友達と過ごしている、などの状況でない限り、たまに飲むときでもビールはジョッキ1杯、ワインはグラス1杯で満足するようになった。
それでも不安な時、日本に一時帰国中は飲み会に出かける道中でコンビニに立ち寄り、「ウコン」配合を謳っているドリンクを飲んでおく。
ウコン、つまりターメリックの効果なのかどうかは定かではないが、少なくとも暗示効果で、このドリンクを忘れずに飲んだ日は確かに悪酔いしたことがない。

さて、このターメリックは抗がん作用が含まれる可能性があることを、ハイデラーバード大学の研究チームが発見した。
「New Indian Express」電子版が伝えた。

University of Hyderabad researchers find ways to make anti-cancer drug from turmeric - New Indian Express

インド古来の伝承医学であるアーユルヴェーダでも、その豊富な薬効成分から、様々な用途に供されてきたターメリック。
ハイデラーバード大学の研究チームは、その主成分クルクミンの治癒特性に注目、抗がん作用があることを探り当てたとしている。
インドで毎日、様々な料理に採り入れられているターメリックが、医学に革命を起こすことになるかもしれない。

ところがクルクミンは薬物にする際、溶解しにくく、半減期が早く(すなわち体内にとどまる時間が短く)、かつ血中への吸収性が低いことが課題となっている。
そこでハイデラバード大学のアシュウィン・ナンギア(Ashwin Nangia)博士を筆頭とする研究チームでは、今回新たに化合された共非晶質固体、「クルクミン・アルテミンシン(Curcumin Artemisinin:CUR-ART)」が、上記の問題を解決することを突き止めた。
アルテミシニンも偶発的な植物由来性の化合物である。

まず、固形状のCUR-ART共非晶質体を、200 mg/kgの用量でマウスに経口投与した場合、30分以内の血液1ミリリットルあたりの溶解度として、0.90~1.23マイクログラムを記録、体内にとどまる時間も純粋なクルクミンの1時間あまりと比較すると6~7時間と、大幅な改善が見られることを観察した。

研究者らはまた、膵臓の腫瘍に対するCUR-ARTの有効性を試験した。
マウスに用量100 mg/kgのCUR-ARTを5週間に渡って投与したところ、がん細胞の抑制率は61.87%となり、現在利用されている薬剤ドキソルビシン(Doxorubicin)の69.97%に近づいた。

しかも最も重要な点は、植物由来成分のため、副作用の危険性が低いことだ。
研究チームは現在、毒性試験を実施し、投与量を大幅に増やしても悪影響が出にくいことを確認している。





          



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments