ネタニヤフ首相訪印記念:インドにおけるユダヤ人たち2,000年以上の歴史

 

Posted on 18 Jan 2018 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

マラーティー語を話すユダヤ人の存在など、インドに関して本当に知らないことばかりで、調べれば調べるほどおもしろいです。



※14人のベネ・イスラエリの祖先がコラバに到着したということで、
コラバ近くのヴィクトリア・ターミナス駅の画像を。
 

ベンジャミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)イスラエル首相の訪印を契機として、インドの地に1,000~2,000年以上もの長きにわたり生き続けてきたユダヤ人やユダヤ教徒たちについてまとめた、「The Better India」による記事を興味深く読んだ。

The Jewish Connect: Tracing This 2000-Year-Old Lineage in India

1948年にイスラエルが建国されると、インドに住んでいたユダヤ人の多くは「帰国」を選んだが、留まることを決めた者も少なくなかった。
それは過酷な迫害と差別に耐えてきた歴史を持つユダヤ人たちにとって、インドが世界でも唯一、比較的安住できる場所だったためだろう。

ユダヤ人のインド移住は、古くは2,000年ほど前の起源68年ごろ、ケーララ州コーチン(Cochin)に漂着したユダヤ系移民が最初とされている。
すなわちユダヤ教は、インド最古の外来宗教のひとつとみなされている。
定住した彼らは、そのまま「コーチン・ユダヤ人(Cochin Jews)」と呼ばれるようになった。

その後、およそ1,600~1,800年前には、現在のムンバイー南部コラバ付近に、ユダヤ人男女14名(7名ずつ)が漂着し、定住するようになった。
彼らの子孫はベネ・イスラエリ(Bene Israeli)と呼ばれるようになった。
この人たちは、後に「イスラエルの失われた10支族」と呼ばれる人々の末裔ではないかと信じられることが多い。 

彼らは現地のヒンドゥー名を名乗るようになったが、ユダヤの伝統を守った生活も続けた。
時代を追って18世紀になり、Rabbi David Rahabiというコーチン・ユダヤ人のまとめ役のような人物がムンバイーを訪れ、成長を続けるユダヤ人コミュニティに目を見張り、宗教的指導者や教師を派遣し、また各地にシナゴーグが建てられるようになった。

5 Fascinating Facts about Jews in India

なお、ユダヤ人商人のインド(コーチン)到達はさらに古く、イスラエルがたびたび陥落するようになった紀元前550年ごろにまでさかのぼる。
紀元50年ごろには、インド初の改宗ムスリム統治者となったチェラマン・ペルマル(Cheraman Perumal)王が、コーチンに逃れた多くのユダヤ移民を宮殿の敷地に匿い、シナゴーグを建てるなど手厚く待遇したとされる。

3番目のグループは、アラビア半島南部から18世紀半ばから19世紀半ばにかけて移住してきた比較的新しい住民、バグダディ・ユダヤ人(Baghdadi Jews)で、インド西岸を中心に定住、英領統治時代には得意の商業で強力な手腕を発揮した。

この3つのグループは、現代に至るまでインドに住み続けており、今も残るシナゴーグやコーシャー(ユダヤ教の宗教的規則に従って処理された食材)市場、沐浴場を建設、インド社会に溶け込んでいる。

こうしてインドに移住したユダヤ人たちは、自らのアイデンティティを維持するだけでなく、現地の文化や言語も取り入れた、独自の暮らしを営んでいる点が興味深い。

例えば、マハーラーシュトラ州を拠点としたユダヤ人たちはマラーティー語を話し、結婚の儀式にマンガルスートラ(既婚女性の証となる金のネックレス)やメンディ(ヘナのペーストを使って手足に吉祥模様などを描き、描いたところが数日間赤色に染まる化粧の一種)を用いるなど、インドの慣習を取り入れている。

また、イスラエルにあるディモナアシュドッドは、主にマハーラーシュトラ州から帰国したユダヤ人たちが多く(合計8万人ほど)、「リトル・インディア」と呼ばれ、独特の伝統と慣習を守った生活を続けている。

現在も5,000人以上のユダヤ系国民が、インドに住んでいる。

このように、インドに住み、またインドにゆかりのあるユダヤ人たちについて、いろいろ調べていたと、次のような大変興味深い書籍に行き着いた。
残念ながらKindle版がないので、日本に帰国した際に入手したい。

インド・ユダヤ人の光と闇―ザビエルと異端審問・離散とカースト - Amazon

ネタニヤフ首相は本日(1月18日)、ムンバイのシナゴーグ(ユダヤ教会)を訪れることになっている。

Netanyahu in Mumbai LIVE UPDATES: Israel PM meets Indian CEOs, says Tel Aviv-Delhi partnership doing ‘wonders’ - Indian Express

他の参考記事:
イスラエル史を振り返る - 日本とユダヤのハーモニー

The Jews of India: A Story of Three Communities - By Muzeon Yisrael

特集:インド壁画芸術に生きる神々の肖像 - National Geographic

彼の預言者性の証拠ムハンマドの奇跡(パート2/3)

失われた十部族の足跡: イスラエルの地から日本まで - Kobe Peace Research Institute

 





            



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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