新年はライスケーキ・イン・ザ・スープで幕を開ける
Posted on 01 Jan 2018 23:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh
お読みくださったあなたにとって、2018年が平和かつ充実した年になりますことを、心からお祈りしています。
大晦日の福岡は比較的温暖で、穏やかな日差しに包まれた1日だった。
例年のごとく昼過ぎまで仕事で、どこに出掛けることもなく、大掃除にも貢献することなく(笑)、母の人徳により方々から勝手に集まってくるお正月のごちそうの数々に囲まれて、ただひたすら平和と安息を味わい、噛み締め、感謝した年の暮れとなった。
ところで近年はずっと、年越しは日本で過ごしている。
大晦日と言えばNHKの紅白歌合戦などのテレビ番組を視聴することを風物詩のように感じる人もいるかもしれないのだが、わたしにはあの種の番組のすばらしさが分からないし、終始「2017年もあと○時間」だの、「あと○分」だの、ただでさえ感傷的になりがちな時に、わざわざ他人にカウントダウンされたくないので避けている。
そこで大晦日の晩には、いっそのこと好きな映画をDVDやダウンロードして観るという過ごし方が定着しつつある。
今年はシュリデヴィ主演の「English Vinglish」をDVD鑑賞した。
ストーリーはどちらかと言うと意外性に欠けていた。
英語をまったく話せない主婦が、親戚の家があるとはいえ単身ニューヨークに渡るという、なかなか興味深い設定にしているのだから、もう少しプロットが丁寧に練られていたらよかったかな。
サリー姿でニューヨークの街を闊歩するシュリデヴィの美しさを堪能するエンターテインメント作品、という位置付けか。
ところでシュリデヴィ扮するシャーシが渡米する場面でちらっと見えた国際空港は、ムンバイー国際空港の旧ターミナルだったか。
新T2ターミナルになってからほんの数年とは言え、もうすでにかなり懐かしい。
そして日本時間午前零時、インドとWhatsAppでビデオ通話。
今年はシッダールタとラーダちゃんを含むインド家族全員、マハーラーシュトラ州アコラでの年越しだったようだ。
かつては回線状況が芳しくなく、たまのアコラ滞在時にはWiFiルーターを持参するも、ネット接続が遅々としていてイラつくことが多かったのに、昨晩の日本とインドとを繋ぐビデオ通話は一度もドロップすることなく、しかもクリアな画像でお互いの顔を確認しながら新年のあいさつを交わすことができた。
通信料を気にして、あらかじめ「Microsoft Frontpage」でオフライン作成しておいたASKSiddhiの記事をネット上にアップロードする時だけ、パソコンをダイアルアップに繋いでネット接続されるのを待っていた2003年当時を思うと、隔世の感だ。
新年のインド家族からのメッセージは、前向きかつ希望にあふれたものであり、特にラーダちゃんが日本語関連で新たな挑戦を色々と計画していることを知り、自分ごとのようにうれしかった。
わたしも今年の抱負を語った。
ずっと学びたかった複数の言語の学習を始めて、少なくとも知識としては身に着けたい。
手話の勉強も続けたい。
趣味のピアノを、もう少し本腰を入れてハードに練習したい。
読書する時間をもっと長く取りたい。
その後、NHK総合で毎年元日の深夜に放送されているさだまさしさんの番組を観ながら、結局また仕事に戻りつつ、日本時間午前3時半のインド時間年明けまでは起きているつもりだったのに、まさかの15分前に寝落ちしていた。
当然、初日の出など拝めるはずはなく、起きたのは日本時間の午前8時半。
ところでビデオ通話で話した時、アイー(インドの義母)にとっての関心の的は、「元旦に日本人は何を食すのか」。
おせち料理についての説明はマラーティー語では苦戦を強いられる。
「ディワリの時のように、それぞれ特別な意味を持つ料理を多数品目作ったり、または買って来たりする。日本はこの時期とても寒いのだが、いずれの料理も数日は日持ちするよう濃い目の味付けをしてあり、お正月の期間に少しずついただく」と言うのが精いっぱい。
それに「ライスケーキ・イン・ザ・スープ」つまり雑煮を添えると付け加えた。
禁酒をポリシーとするアイーに「そして酒を飲む」とは口が裂けても言えない。
新年と言えば、初詣は神社が大混雑する三が日は自粛し、実家近所のイオンモール内にある「TOHOシネマズ」に繰り出して映画鑑賞するのが、わが家の近年の定番だ。
今年はジャッキー・チェン主演の「カンフー・ヨガ(Kung Fu Yoga)」を観た。
中国映画、特にカンフー系は観る機会がほとんどないのだが、インドと絡んでいるというだけで、どんなものになっているのか非常に興味があった。
ジャッキー・チェン氏の往年変わらぬしなやかなカンフー技と、女性も男性も抜群にグッドルッキングなインド人俳優陣、そしてラストの大団円でジャッキー氏も参加するボリウッド・ダンス。
見どころはこの3点のみで、個々のストーリーはオチに欠け、ツッコミどころも満載で落ち着かなかった。
間違えて希望していた字幕版でなく、吹替版を観てしまったことも一因だろうか。
しかし途中からは「意味など考えてはならない、ただ楽しむことに努めよ」と自分に言い聞かせて気持ちを切り替え、最後まで乗り切った。
これは完全脱力系エンターテインメント映画と心して鑑賞すべき作品だろう。
同時に、中国映画の勢いも感じ取ることができ、今後もっとインド映画界とのコラボレーションが生まれていけば面白いのにな、とは思った。
About the author
|
|
Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
|
User Comments