女性運転士による電気オートリクシャーを公共交通機関にしたチャッティスガルの農村の英断

 

Posted on 23 Sep 2017 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

救急患者の搬送という部分では、電池が切れたらシャレにならないな、と一抹の不安は感じました。



電気オートリクシャーは、いつの間にか広く流通しているようだ。
先日、友人からも、プネーに住んでいた某国からの駐在員さんが、当地で楽しんで乗り回していた電気オートリクシャーを、本帰国に伴って持ち帰ったという話を聞いた。
ざっと調べただけでも、これだけのオプションがある。

Electric Rickshaw - India Mart(電気オートリクシャーの価格一覧)

そしてWikipediaでは、ソーラーパネルを備えた太陽光から直接発電するタイプのものについても言及している。

Electric rickshaw - Wikipedia

また今年7月には、デリーのアーヴィンド・ケジリワル(Arvind Kejriwal)連邦直轄領首相が、電気オートリクシャーを所有している人に3万ルピーの助成金を出すことを約束してもいる。

Arvind Kejriwal releases Rs 30,000 subsidy each for 6,000 e-rickshaw owners - The Economic Times

一部では著しい経済成長を享受しつつ、取り残された地域が大部分の、いびつな国インドだが、変わる時は大きく変わることができるのではないか。
そう感じさせてくれる記事が、「The Times of India」でも紹介されていた。

Tribal women to operate e-rickshaws in Maoist-hit villages of South Bastar - The Times of India

チャッティスガル(Chhattisgarh)州にある、ヒンドゥー教徒にとって重要な寺院があることで有名な門前町、ダンデワダ(Dantewada)では、世にも珍しい試みが実践されている。



 

それは「ダンテシュワリ・セーワ(Danteshwari Sewa)」と名付けられた活動の下、地域で暮らす女性たちを電気オートリクシャー(e-rickhaw)の運転士として雇用することで収入と家計の向上を図ると同時に、ナクサライトと呼ばれる共産主義者らによる破壊活動が現在でも散発して治安が安定せず、公共の交通機関がほぼ皆無か、バス停が自宅から非常に離れた地域に住む住民にも恩恵をもたらすことを狙っている。

既に51台以上の電気オートリクシャーが確保され、女性運転士たちによる営業運転が始まっている。
オートリクシャーは1台あたり17万ルピーで、代金は各種団体によって全額が資金援助されている。

ただし女性たちが運転する電気オートリクシャーは、あらかじめルートがある程度定められているが、これは10カ所ある充電ステーションから遠く離れすぎないよう配慮したもの。

さらに、農村における公共交通機関という性格上、それぞれのオートリクシャーには応急処置キットとGPS追跡デバイスが搭載されており、また女性運転士ひとりひとりにはSOSボタン付きスマートフォンが配布される。
ボタンを押すと、最も近くにある警察署の管制室に通報され、直ちに車両の追跡が始まる。

また救急患者の搬送はもちろん、妊婦や通院中の住民たちの病院への送迎は無料としている。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments