プネーの日本語学習中ジャーナリスト、プラチさんに新聞の記事にしてもらうの巻

 

Posted on 23 Aug 2017 23:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

あんな素敵な記事にしていただいたので、わたしもプラチさんの仕事ぶりについてちょっと書きました。そしてプラチさん、日本語能力検定試験(JLPT)N3級合格おめでとう。



※写真は「ヒンドゥスタン・タイムズ」ウェブ版の記事より
 

友達でジャーナリストを職業としているプラチ(Prachi Bari)さんが、「なぜプネーを選んだのか?(正しくは「I Love Pune」)」をテーマに取材してくれ、そのインタビュー記事が22日付の「ヒンドゥスタン・タイムズ(Hindustan Times)」紙プネー版の朝刊に掲載された。

I came to Pune to learn English - Hindustan Times
「Hindustan Times」2017年8月22日紙面版PDFへのリンク - Dropbox

この記事のための取材(21日の夕方)から掲載(22日朝)までは、文字通り半日にも満たないスピードで流れ、改めてプロの仕事を垣間見たようで圧倒された。
ASKSiddhi(アスクスィッディ)の更新作業を通して、自分のことは自分で散々記事にしてきたが、誰かに自分のことを取材してもらって書いてもらうという、大変貴重な体験をさせてもらったので、ここにも記念として残しておきたい。

まず、プラチさんとは近所のカフェで、3時に待ち合わせしていた。

わたしはその日、仕事が山積みだったので、1時間以上早くカフェに到着して、店内で仕事をしていた。
するとプラチさんも待ち合わせの30分以上前に、「他の仕事を片付けとこうと思って」と笑いながら入ってきた。
2人で時々おしゃべりを楽しみつつもパソコンに向かっていると、ほどなく人柄の穏やかそうで実直そうな、新聞社の男性カメラマンがやってきた。
なんと約束だった3時より10分も前に関係者全員が揃い、「この時間厳守ぶり、まるで日本人かよ!」と3人で互いにツッコミつつ、和やかな雰囲気で取材がスタートした。

ところでプラチさんは、1カ月くらい前にバイクで転倒して左手首を骨折していた。
サポーターで保護された手首にはまだ痛みが残ると言いながらも、レコーダーにも頼らず黙々と質問し、それに対するわたしの回答をパソコンに打ち込んでいく。
おもしろかったのは、途中でプラチさんの手首に痛みが走ると、カメラマンが代わって必死にタイピングをしていたこと。
このようなことが可能なのも、プラチさんが普段、仕事上で築いている良好な人間関係があってこそだろう。
器の小さいわたしは内心、(こんな調子で聞き取った内容は、ちゃんとした記事として反映されるのだろうか)と心配していた。

このインタビューは、外国人をはじめ、プネーに在住する人を広く対象としたシリーズ記事のようで、もともとテーマがはっきりと決まっていたから、取材された内容自体は思っていたよりずっとシンプルなものだった。
わたしにとっては普段、友達としての顔しか知らなかったプラチさんの、ジャーナリストとしての視線や視点、相槌の打ち方を含めた人の話を訊く姿勢に、すっかり惚れてしまった。
わが友達ながら、かっこいいな、と心から思った。

こうして、当初予定していた1時間きっかりで取材を終え、現場でタイピングした草稿ファイルに目を通させてもらって内容確認し、これを上司に電子メールで直ちに送信、すぐに不自由な左手首を庇いつつカメラマンのバイクに飛び乗り、新聞社のオフィスへ白い歯がきらりと光る笑顔を見せて颯爽と引き上げて行ったプラチさん。
再び、かっこいいな、と見送った。

翌朝、プラチさんから教えてもらって「ヒンドゥスタン・タイムズ」紙の朝刊を確認すると、なんと2面の半分くらいを占める大型記事だった。
しかも前日確認させてもらった草稿よりも、さらに読みやすく、内容が伝わりやすいよう、適所、手が加えられていた。
ただ一般の英字ニュースよりも、ひとつひとつの文章がかなり短めに区切られているように見受けられるのは、それこそ英文を読むことに慣れていない人たちにも伝わるようにという配慮なのだろうか。

他者によって紐解かれた自分のプネー史は、何度読み返しても心に響くものになっていた。
このような機会をくれた友人のプラチさんに、改めて心から感謝している。

ちなみに記事のタイトルの通り、「英語の勉強をするためにプネーにやって来た」わたしは、当初滞在した3カ月間、プネーの街行く人たちに必死で「英語で話しかけ」、無視されたり変な顔をされるたびに「わたしの英語がおかしいから通じないのだ」と手を変え品を変えコミュニケーションを試み続けたのである。
そうした自分のズレっぷりと、それでもこれまで幸せに生かしてくれたプネー社会にも、感謝の気持ちを忘れないようにしようと誓った。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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