インドに住んでいるんだから、シンガポールに赴いてまで、わざわざリトル・インディアでインド体験せずともよかろうと、なんとなく思っていたので、これまで過去4〜5回ほどの訪問歴で、一度も足を運んだことがなかった。
今回は、シッダールタの会社で働くカイラッシュさんも一緒だったのと、泊まっていた「Hotel G」も近かったので、彼と一緒に海外のインド人街というのを見てみるのも面白そうと、3人で行ってみることにした。
MRTリトル・インディア(Little India)駅A出口を左に行くと、そこはインド、もといタミル世界。
シンガポールに移民しているインド人の多くを、タミル系の人たちが占めるためだ。
実際、タミル語は、シンガポールの公用語のひとつにもなっている。
したがって、この街を訪れると、飛び交っている言語も主にタミル語だった。
駅からすぐの食料品店は、プネーでいつも行くスーパーと同じ匂いがした。
それは、トイレ芳香剤や消毒薬のような香りに、コリアンダーリーフ(コティンビル)やカリパッタ(カリーリーフ)の香りが混じりあった、独特の匂いだ。
通りにはキラナを彷彿とさせる小さな店が軒を連ね、どこも強烈な線香の匂いを漂わせている。
大音量でサイババを讃える歌を流している商店もある。
そして時折、ゴールドの宝飾品を売る大きくて立派な店がどどんと現れる。
その中心に、ヒンドゥ寺院(Sri Veeramakaliamman Temple)が鎮座するのも、まるでプネーのラクシュミー・ロードを歩いているようだ。
訪れたのが夕方7時ごろだったため、寺院内はプージャ(祈祷)タイムど真ん中という感じで、信者たちが僧侶にプラサード(お供え物のお下がり)をもらったりしていた。
しばらく待っていれば、食事も提供されるとのことだった。
ベンクーレンのラーマ・クリシュナ寺院と違って、こちらには中華系の参拝客はほとんどおらず、ほぼ全員インド人か、わたしのような観光客が物珍しそうに写真を撮っていた。
ひとつ違うのは、空中を舞うチリやホコリの量が圧倒的に少なく、空気が澄んでいること。
また歩道も買い物客が歩きやすいように整備されていて、思わぬものを踏んでしまう心配なく歩ける。
物乞いが突然寄ってきたり、地面を這っている人に出くわすようなこともない。
カルピスの原液をインドだとすれば、それを飲みやすいように薄めたのが、シンガポールのリトル・インディアと言えるだろうか。
本当に、中和されたインドを歩いている感覚という点で、なかなか異世界の体験をできる場所だった。
インド人街なのにものすごい整然としてる。
そして道行く人は、なぜかインド系ばかりだった。
ICICI銀行を発見。
しかしATMからは送金しかできなかった。
リトル・インディアの真ん中に建つ寺院。